スーパーカブ

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大自在 10/20

 創業者故本田宗一郎の設計思想を伝承してきたホンダの二輪車「スーパーカブ」が世界累計生産5千万台を突破したと本欄で書いたのは11年も前になる。乗り降りのしやすさなど使い勝手を追求し、1958年に誕生した。

 開発に当たりバランスを良くするため部品メーカーを説き伏せ、大きめのタイヤを採用するなど苦労を重ねた。当時、販売価格は5万5千円。1万円程度だった公務員の初任給の約5倍もしたそうだが、経済的で耐久性に優れたバイクとして大ヒットした。

 スーパーカブが今度は累計生産1億台を達成した。かつて市場経済を導入したベトナムを訪れた際、ホーチミン市内の道路を埋め尽くしたバイクに驚いた覚えがある。もちろんスーパーカブが多かった。2016年度はインドや中国など21カ国の35拠点で生産した。

 修理のしやすさや確かな技術力が世界で人気を集めている理由だろう。設計の基本やデザインなどは初代からあまり変わっていないと以前、聞いたことがある。ホンダがそのスーパーカブの国内生産を5年ぶりに再開したことも明らかになった。

 製造業と言えば、中国や東南アジアなどへ工場を移す“空洞化”が指摘されてきただけにスーパーカブの国内回帰は喜ばしい。主要製造業の国内生産がものづくり王国復活への端緒になればと願うばかりだ。

 独自の創意を放棄するような考え方が生まれた瞬間から、企業は転落と崩壊の道をたどり始めるだろうと、本田宗一郎は著書に書いた。日本を代表する企業の不祥事が続く今、かみしめたい言葉だ。

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