ワニの口

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南風録 10/18

 「口」の字に動物を組み合わせた言葉は数々ある。代表格は水道の蛇口だろう。若い女性ならアヒル口が浮かぶかもしれない。口角が上がり唇を前に突き出した口をいう。かわいらしく見せるしぐさが魅力らしい。

 ヒキガエルの見た目と裏腹に、重宝するのはがま口である。大きな口で小銭を丸のみしてくれ、ちょっとした買い物に便利だ。給料日前に500円玉を見つけて喜んだ向きも多かろう。

 変わり種は「ワニの口」である。こちらは庶民とは桁違いの国家予算を扱う財務官僚が好んで使う。歳出と税収の差が年々広がっていく折れ線グラフの形が、口を開けたワニと似ていることにちなむ。

 この差額は国債の発行、つまり借金で穴埋めされている。少子高齢化により社会保障費は膨らみ続け、バブル崩壊後、ワニの口は広がる一方だ。口を縛るロープの役割が消費税増税だったはずなのだが、雲行きは怪しい。

 衆院選で与党は増収分をすべて借金返済に回さず、教育無償化に充てる方針を打ち出した。野党は今は上げ時でないと増税の凍結、中止を訴える。いずれもワニの凶暴性をみくびったかのような振る舞いだ。

 広辞苑を引くと、しっかり「鰐(わに)口」もあった。「きわめて危険な場所・場合」と出てくる。いくら巨大なワニでも口の大きさには限界があろう。たがが外れた先にある財政破綻や借金地獄を忘れてもらっては困る。

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