「怒る」と「叱る」

正平調 10/18

昨年亡くなったラグビー元日本代表監督の平尾誠二さんには、人を叱るときの4カ条があったそうだ。人格を責めない。あとから必ずフォローをする。人と比べない。そして、長くはやらない。

国語学者の金田一秀穂(ひでほ)さんも「怒る」と「叱る」の違いを解説している。相手をへこまし、やっつけるのが「怒る」。同じ過ちを繰り返させないようにするのが「叱る」だと(「オツな日本語」日本文芸社刊)。

調査によれば、中学2年の男子生徒は担任と副担任に、大声で怒鳴られたり、責められたりした。あげく過呼吸を訴え、土下座で許しを請おうとした。これを「叱る」とは言わない。「怒る」の域も超えている。

福井県池田町で3月、この生徒が飛び降り自殺をしたのは、担任らの度重なる「厳しい指導」や「叱責(しっせき)」を苦にしたものだったと町教育委員会が明らかにした。怒声は周囲が身震いするくらい激しかったという。

どんな先生なのか。生徒が懸命に務めていたはずの生徒会役員についても「おまえ辞めてもいいよ」と怒鳴っている。ほかの教員も知らん顔だった。集団いじめに近い。

いくら学校に怒っても、叱っても、今になって過ちは繰り返さないと言われても、失われた命は戻ってこない。少年の絶望が胸を締めつける。

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担当者コメント
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著者紹介
金田一秀穂(きんだいち ひでほ) 1953年東京都生まれ。上智大学文学部卒業後、1983年、東京外国語大学大学院日本語学専攻を修了。 ハーバード大学客員研究員等を経て、現在、杏林大学外国語学部教授。祖父の金田一京助(言語学者) 、父の金田一春彦(国語学者)に続き、自身も日本語研究を専門。海外の大学などで日本語教育の経験も豊富で、わかりやすく、かつ楽しく日本語を語る独特のキャラクターは、テレビ・ラジオでもおなじみ。

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