酒は百薬の長

雷鳴抄 10/18

 古代中国王朝。前漢と後漢に挟まれてわずか15年だけ存在した「新」(8~23年)がある。建国したのは王莽(おうもう)。「酒は百薬の長」の由来は、王莽が塩や酒、鉄などを国の専売制にするために出したお触れだという。

古来、程良く飲めば薬にも勝る効能があるとされる酒。厚生労働省の「健康日本21」が定めた1日の適度な飲酒量はアルコール20グラム。日本酒なら1合、ビールなら500ミリリットル缶1本程度になる。

厚労省研究班が先ごろ明らかにした65歳以上の高齢者を対象にした分析によると、酒を飲む男性の半数、女性の4分の1が飲み過ぎである。「節酒」を意識している人でも1~3合飲んでいる人が少なくない。左党には適正量はあまり知られていないようだ。

近年、定年退職後に飲酒習慣が悪化する高齢者の問題が、注目されている。筆者もひとごとではない。飲み過ぎは老若男女どの年代でもトラブルのもとだが、高齢者は健康や人間関係への影響が出やすい。

前回の県民健康・栄養調査では、男性の30~60代で「多量飲酒」の割合が増加傾向だった。酒好きは「程良く」の前提を取っ払って「百薬の長」を都合良く使うのが常である。

適正量は少ない気もするが、吉田兼好(よしだけんこう)は徒然草で「百薬の長とはいへど万の病は酒よりこそ起これ」と書いている。節度ある飲酒を心掛けたい。
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