海を身近に

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大自在 10/17

 子どものころ、海辺で小魚やカニを捕るのに使ったのは専ら竹の柄が付いた小さな「たも網」だった。しかし日本一深い駿河湾の深海生物となれば、そうはいかない。専用ネットの開口部は畳6畳分、長さは15メートル。それを船から投入し曳航[えいこう]した後、引き揚げる。

 おととい雨の中、清水港沖で行われた洋上セミナー。東海大学海洋学部(静岡市清水区)の海洋調査船「望星丸」に親子連れなど約70人に交じって乗船、参加した。どんな魚が入るのか。わくわくしながら、一連の作業を見学した。

 約2時間半、水深800~900メートルを曳[ひ]いて揚がった魚は一番大きくても体長十数センチ。食用にされるハダカイワシや小さな発光器官があるヨコエソ、細長い口に細かな歯が生えたシギウナギ…。風変わりなエビ、クラゲの仲間もいて子どもたちは身を乗り出すように観察した。

 「見て触って楽しんで、気が付いたら海がより身近になったと言われたら、うれしい」。主催した海洋学部の川崎一平副学部長は、海への関心をもっと広げていきたいと意欲を見せる。

 海洋文化都市を未来構想に掲げる静岡市では東海大のほか、清水港を探査船「ちきゅう」の実質的な母港にしている海洋研究開発機構(JAMSTEC)が、研究員や資機材を生かし体験学習の場づくりに協力的だ。静岡商工会議所は機運醸成へ昨年、市民サポーター組織を発足させた。

 近所の上級生に魚取りや磯遊びを教わる子は今や少数派らしい。それは少々寂しいけれど、代わって頼もしい〝橋渡し役〟が海との絆を深めてくれそうだ。

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