激突

くろしお 10/17

 「ジョーズ」や「未知との遭遇」でハリウッドきっての有名監督となるスピルバーグ氏の無名時代の作品に「激突!」がある。主演は口ひげの名優デニス・ウィーバーさんだ。

 アメリカの田舎道でのんびり愛車を走らせていた主人公の男性が機関車のように排ガスを吐き出す大型タンクローリーに追突されたり、幅寄せされたりして「死の恐怖」を味わう。線路内に押し込まれ、あわやフルスピードの列車と衝突しそうになったりもする。

 神奈川県の高速道路上で6月あった事故で静岡市の夫婦が亡くなり娘さん2人も負傷した。警察は夫婦の車の進路を車でふさいで停止させ、トラックの追突を誘発したとして自動車運転処罰法違反と暴行の疑いで福岡県の男を逮捕した。

 現場手前のパーキングエリアで駐車位置を巡り注意されたのを逆恨みしての狂気の行動だった。男は、追い越し車線に無理やり停止させたうえ、夫婦の車に詰め寄った。この約1カ月前、山口県の道で他の車の進路をふさぎドアを蹴るなどしていたことも分かった。

 「激突!」のラストでタンクローリーと車は崖下に落ちていく。主人公はからくも脱出に成功するが鑑賞後に残るのは深い虚脱感だけだった。スピルバーグ監督さすがの傑作だが、現実の恐怖と理不尽さには、到底およぶものではない。

 ひどい男だがわが身はかわいいとみえ警察の聴取に当初は「夫婦にあおられたので停車した」など虚偽の説明をしていたという。親を失った子らの今後はどうなるのか。たぶん一生涯消えない心の傷のことを考えると胸が締めつけられる。

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