シット・レス、ムーブ・モア

2017101605312035e.jpeg


中日春秋 10/16

アラン・ドロン主演の映画、「太陽がいっぱい」の原作などで日本でもおなじみのサスペンス作家、パトリシア・ハイスミスの原稿の書き方は変わっている。机に向かわない。

ベッドの上にすわり、そのまわりにたばこと灰皿、コーヒー、ドーナツを盛った皿を並べ、「胎児のような姿勢」で書く。楽しく書くための方法だったそうだが、傍(はた)からみれば、ベッドの上の不安定なコーヒーがサスペンスである。

この作家も普通には机に向かわない。アーネスト・ヘミングウェー。立って書いた。胸の高さの本棚の上に置いたタイプライターで毎日午前六時から正午まで。聞いただけで足が重くなる。

立って書いた「パパ」のしたり顔が浮かぶ最近の「座る」をめぐる研究である。米国の医学チームによると、あまり長時間座っていると早死にする危険が高くなるというのである。

こんなに楽な姿勢なのにと思うが、長期間の追跡調査の結果、運動習慣の有無や体格などに関係なく、一日に座る合計時間や一度に座る時間が長い人ほど死亡リスクが高くなったというから震える。

三十分座ったら立って体を動かすなどの「シット・レス、ムーブ・モア」(座る時間は少なく、運動はもっと)を提唱しているが、勉強に仕事に「椅子よさらば」とはいかぬところが難問で、実際、本稿、書き上げるのにいつもの二倍の時間がかかっている。

2017101605312126b.jpeg

2017101605312146d.jpeg

関連記事