もうひと花

水や空 10/15

〈記憶力のピークは20代の前半でしょう。自分の将棋だけでなく、隣で指している将棋の棋譜もすべて覚えていることがありましたから〉〈覚えることは大変ですが、忘れる力は年齢が上がるとどんどん伸びていってくれます〉

どんな世界にも世代交代はつきものだ。この人も笑いを交えた涼しげな口調で老いや衰えを語ることが増えてはいた。将棋界の第一人者、羽生善治さん。

前人未踏の獲得タイトル「100期」を目前にして、思うように勝てない日々に直面している。8月以降、若手棋士に二つのタイトルを立て続けに奪われ、保持しているのはとうとう「棋聖」の1冠だけに。

昨日は公開対局の早指し棋戦「日本シリーズ」で敗れて決勝進出を逃した。4月以降の戦績は18勝16敗。戦う相手や舞台を考えれば「指し分け」は上々の数字なのだろう。ただ、相手の研究手順に陥り、序盤に形勢を損ねたまま土俵を割る将棋も増えた。

9月で47歳になったが、さわやかな人柄は相変わらずだ。「王位戦」では失冠した直後に解説会場に姿を見せ、解説で使う大盤の駒の操作にせっせと手を貸す気さくさでファンを驚かせた。

20日に開幕する「竜王戦」7番勝負には挑戦者として登場する。もうひと花-が咲くかどうか。アラフィフ世代の切実な声援は届くか。

…………………………

羽生善治の名言

羽生善治のプロフィール

羽生善治(はぶ よしはる/1970年9月27日-/男性)は、東京都出身の将棋棋士(埼玉県生まれ)。将棋界初の七冠王を達成した名棋士であり、他の棋士が思いつかないような絶妙の手順はたびたび「羽生マジック」と称された。これまでに史上初の七冠王、史上初の永世六冠(後に永世七冠)、通算タイトル獲得数歴代1位、通算1200勝を史上最年少で達成、公式戦優勝回数歴代1位など数々の業績を残しており、将棋史上最強格の棋士として名を挙げられることも多い。主に居飛車(いびしゃ/飛車を右翼に配置)が得意な戦法とされているが、振り飛車(ふりびしゃ/飛車を左翼に配置)を採用することもあり、羽生自身が「相手の得意な戦型に挑戦する」と述べている通り相手に合わせて多彩な戦術をとることでも知られる。また羽生と同年代には永世棋聖の佐藤康光、竜王戦史上初の3連覇を達成した藤井猛、永世名人の森内俊之などトップクラスの若者たちが集まっており、彼らは「羽生世代」と呼ばれている。

著書

主な著書に『捨てる力/PHP研究所』『羽生善治の定跡の教科書/河出書房新社』『迷いながら、強くなる/三笠書房』『羽生善治の将棋の教科書/河出書房新社』『戦いの絶対感覚 羽生善治の将棋の教科書実戦篇/河出書房新社』『羽生善治のみるみる強くなる将棋入門シリーズ/池田書店』『決断力/角川書店』『もっと羽生流!初段プラスの詰将棋150題/成美堂出版』『適応力/扶桑社』『直感力/PHP研究所』『羽生対局から50問!投了図からの詰将棋/梧桐書院』『羽生の法則シリーズ/日本将棋連盟』『大局観 自分と闘って負けない心/角川書店』『才能とは続けられること 強さの原点/PHP研究所』などがある。

羽生善治の名言集

私は才能は
一瞬のひらめきだと
思っていた。
しかし今は10年とか20年
30年を同じ姿勢で
同じ情熱を傾けられることが
才能だと思っている。

勝負の世界では
「これでよし」と
消極的な姿勢になることが
一番怖い。

常に前進を目ざさないと
そこでストップし
後退が始まってしまう。

誰でも最初は
真似から始める。
しかし、丸暗記しようと
するのではなく
どうしてその人が
その航路をたどったのか

どういう過程で
そこにたどり着いたのか
その過程を
理解することが大切。

ただ一局一局を大切に
そこにだけ集中して
指してきた。

見た目にはかなり危険でも
読み切っていれば怖くはない。
剣豪の勝負でも
お互いの斬り合いで
相手の刀の切っ先が
鼻先1cmの所を
かすめていても
読みきっていれば
大丈夫なんです。

すでに過ぎ去ったことは
仕方がない。
私は、意識的に先のことを
考えるようにしています。

反省は
勝負がついた後でいい。

「いかに戦うか」は
大局観にかかわるが

その具体的な戦略は
事前研究が決め手になる。
事前にしっかり準備して
万全の態勢で
対局に臨んでくる人は強い。

プレッシャーはその人の
持っている器に対して
かかるものだ。
器が大きければ
プレッシャーを感じることが
ないはずだと
自分に言い聞かせています。

一番いいと思えるものを簡単に
単純に考えることができれば
逆境からの突破口を見出せる。

ビジネスや会社経営でも
同じでしょうが
一回でも実践してみると
頭の中だけで考えていたことの
何倍もの「学び」がある。

勝敗を決定するのは
“ただの一手”で
あったりする。
絶妙の一手。
あるいは絶妙に見えて
最悪の一手。

大一番の対局では
誰しも手堅く
安全、確実な道を
選びたくなるものだ。
自分もそうすることが
よくある。
しかし、確実にという
気持ちに逃げると
勝負に勝ち続けるのは
難しくなってしまう。

決まり切った局面で
長考して時間を使って
疲れるより
勝負どころの場面で
深い集中力を
発揮できることが大切。

興味が続くかぎり
集中力は続くものです。

勝つのは
一点差でいい。
五点も十点も大差をつけて
勝つ必要はない。
常にギリギリの勝ちを
目指しているほうが
むしろ確実性が高くなる。

相手のことを知るよりも
自分自身が強くなれば
それで済む世界だし
それを目指した方が
本筋というか
王道という気がする。

直感には
邪念の入りようがない。

長く考えると言うのは
道に迷っている状態
なんですね。

「勝ちたい」とか
余計な思考も入ってくる。
だから、いくら考えても
分からない時は
最初に戻って
直感にゆだねることが
よくあります。

勝負では
知っていることに
自分の思考とかアイデアを
プラスしないと
意味がないのですが

知っているという
その一点だけで
有利になるということも
よくあるんです。

簡単に
単純に考える。

山ほどある情報から
自分に必要な情報を得るには
「選ぶ」より
「いかに捨てるか」の方が
重要なことだと思います。

勝ち負けには
もちろんこだわるんですが
大切なのは過程です。

結果だけなら
ジャンケンでいい。

いろいろ考えられる
選択肢の中から
「この一手」を選ぶのは
自分しかいないわけです。

ミスはミスを呼び
悪手は悪手を呼ぶ。
プロがミスをしないのは
ミスしにくい局面を
選択しているからなんです。

本当に見たこともない新手は
ひらめきみたいものからしか
生まれない。
でもそれは先入観を
すべて捨てて考えないと
なかなかできない。

守ろう、守ろうとすると
後ろ向きになる。
守りたければ
攻めなければいけない。

夢は目指した時から
目標に変わる。

ひらめきやセンスも
大切ですが
苦しまないで
努力を続けられる
ということが
何より大事な
才能だと思います。

イメージが浮かぶのは
序盤と終盤である。
浮かんでしまえば
あとは中盤でその間の
つじつまを合わせればいい。

平均点を目指すと
限界も決まってしまう。

基本的に人間というのは
怠け者です。

何も意識しないでいると
つい楽な方向や
平均点をとる方向に
いってしまいます。
だから相当意志を強く持って
志を高く揚げ
核となっている
大きな支えを持たないと

一生懸命に
やっているつもりでも
無意識のうちに
楽な方へ楽な方へと
流されていく。

自分自身の目標に向かって
ちょっと無理する
くらいの気持ちで
踏みとどまらないといけません。

漠然とした不安は
立ち止まらないことで
払拭される。



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