まゆにつばして聞く理想

くろしお 9/19

 「論語」に「よい発言をする者が、必ずしも徳のある者とは限らない」とある。確かに大上段に理想を振りかざす人に限って行動が逆だったりすることは時々、見聞きする。

 戦前、戦中の教育方針だった教育勅語を掲げ、経営する幼稚園の園児に暗唱もさせていた学校法人「森友学園」前理事長・籠池泰典氏の数々の疑惑が上がるにつれて、論語の教訓が補強される思いがする。大阪地検は、籠池氏を詐欺と詐欺未遂の罪で追起訴した。

 学園が運営する幼稚園の障害児数に応じた大阪府と市の補助金をだまし取るなどしたという。小学校の建設を巡り既に起訴した国の補助金詐取や未遂分を含めると立件総額は2億150万円に及ぶ。補助金不正の捜査はこれで終結する。

 「徳と才能を磨き上げ、進んで公共の務めや世間の務めに尽力し、いつも憲法を重んじ、法律に従いなさい」と教育勅語(現代語訳)は記す。容疑はともかく、金額の異なる工事請負契約書を国や大阪府などに提出した時点で籠池氏が教えに反するのは明らかだ。

 これに容疑の本命とされる、国有地を不当に安く払い下げてもらった疑惑が加わると愛国どころか亡国的な行為と言えよう。籠池氏を持ち上げていたにもかかわらず、都合が悪くなると即、籠池切りに走った政治家や官僚も同罪だろう。

 そもそも主権在君や神話的国体観に基づく教育勅語は、1948年に衆参両院が排除、失効を確認する決議を行っており、教材にふさわしいとは思えない。森友問題は、高い理想を唱える者はまゆにつばして聞くべしという教訓にはなる。

20170919155524fc3.jpeg

201709191555339ce.jpeg

20170919155532ded.jpeg
関連記事