民主化 ?

中日春秋 9/18

ある男が神様に願をかけた。「明日は晴れにしてください。もし願いがかなえば、羊の頭をお供えします」。おみくじを引くと、願いはかなえられると出た。

別の男がやって来て願をかけた。「明日は雨を降らせてください。かなえば豚の頭をお供えします」。おみくじではやはりかなうと出た。神様は奥さんに告げた。「明日は天気なら羊、雨ならば豚が食べられるぞ。」

中国の笑い話という。相反する約束とは腹立たしい。その民主化運動指導者にはそんな「神様」になってほしくないのである。イスラム教徒少数民族ロヒンギャ問題で対応を非難されるミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問である。

政府の治安部隊がロヒンギャの村を焼き払い、銃撃したとの報告もある。「民族浄化」。おぞましき指摘もあるが、スー・チー氏は沈黙する。「どこで暮らす人々も自由や平和を享受できる世界を」。ノーベル平和賞の受賞演説でそう語った人がロヒンギャに背を向ける。

対応が難しいのは分かる。国民の九割が仏教徒でロヒンギャには冷ややか。スー・チー氏は民主化推進の上でも、その支持を失いたくない。軍の反発も避けたい。

しかし、それでは、正反対の約束をして、平気な顔のあの神様になる。少数民族の血と叫び声。それに目をつむり、民主化を推進したところで、誰がそれを民主化と称賛するだろうか。


関連記事