奇跡

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自分におどろく

たなかかずお 文
あべ弘士 絵


きみのいのちは 
40億年前に生まれた
たった一つの細胞から始まった。
いのちは進化して
木や草やライオンや象になった。
ムカデやタコにならず、
きみは まっすぐ人間の道をたどって
いま そこにいる。
それは すごいことだ。まさに奇跡なのだ。
........
童話屋のたなかかずお。
動物となかよしな絵本作家・あべ弘士。
二人がタッグを組んで作った一大叙事詩が、たのしいポケット詩絵本になりました。
ビッグバンからコンピューター文明に至る、壮大な宇宙と人間の歴史をひもときます。


…………………………

卓上四季 8/20

地球上に生命が誕生したのは約40億年前とされる。以来、生命は進化を続け、多様な生物に枝分かれした。あるものは植物に、あるものは魚や鳥に。そして、約400万年前に人類の祖先が現れて、十数万世代を経て現代に至る。

たった一つの細胞から命の赤い糸がつながり、私たちはいまここにいる。気の遠くなるような時間と恐るべき確率の低さだ。だからこそ「きみの存在は、奇跡そのものだ」と、童話作家のたなかかずおさんは「自分におどろく」(童話屋)で命の大切さを訴える。

小中学校の夏休みが終わる。若者の自殺の多くは長期の休み明けに集中する。いじめや友人関係のもつれ、成績不振、家庭問題など、さまざまな理由があろう。家族や教師は子どもの様子に気をつけたい。

起床が遅い、覇気がない。そんな微妙な変化がSOSかもしれない。つらい思いを口に出せない子は思った以上に多い。まずは大人が目を配り、耳を傾け、寄り添いたい。そして、生きているだけで奇跡だということを教えてあげてほしい。

死にたいほどつらいことや、悲しいこともあろう。そんなときは無理をすることはない。走り疲れたら歩けばいいし、歩き疲れたら立ち止まればいい。しばらくしたら、きっと走れるようになる。

焦ることはないのだ。人類400万年の歴史と比べれば、人生はほんの一瞬だが、それでも私たちにとっては十分長い。
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