なつやすみどろぼう

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▼書評 『雨の自然誌』

著者 シンシア・バーネット
訳者 東郷 えりか
出版社 河出書房新社
発行 2016 09.30

《アメリカ・シアトルとイギリス・マンチェスターの共通項とは?》
昨年の秋は大変雨降りの日が多かった信州。9月は、観測史上最多の雨量で日照時間は平年の3割にも満たなかったそうです。その影響などもあり、野菜の価格が高騰したのは周知のとおりです。
本書は、そんなところから「Rain」にまつわるエピソードと思いセレクトしました。読了後は、「雨の文化史」の印象です。地球規模のエピソードから雨の日に車で通う際に視界を快適にするワイパーまで、網羅されており今では雨を待ち望む日々です。

そうです。「人々の日常の生活に直接の影響を及ぼすことになるのは、雨」だったのですね。そのことを如実に各テーマごとに記した力作です。最終章は、世界で最も雨の多い地域に著者自身足を踏み入れます。

上述したように、昨今の気象条件は、乾燥した地域はより旱魃に、雨の多い地域はさらに多雨になる傾向が顕著になっております。この現象は著者のいう、「私たち頭上に降る雨は往々にして、人間が地上で放出したものを、ただ空から降らせているのだ」と。たとえば、「酸性雨」が良い例ですね。よって人類の日々の生活は様々なかたちで雨となって現れているということです。

ウガンダのヴィクトリア湖は、年平均242日も雷が轟き、インドの北東部のチェラプンジ村は有史以来最高の降雨を観測し、一年間で2万6446ミリであります。そして、このまま地球の温暖化が進めば、あの金星で起こった「暴走温室」という海がすべて蒸発してしまったような終末的な観測もされる気象学者もいるそうです。マイクロソフトの創業者・億万長者のビル・ゲイツ氏がハリケーンの勢力を弱める技術を研究する科学者とともに、特許を申請した事実は本書ではじめて知りましたが、それは過去に「雨を降らせる技術」の職業が本当にあったことに基づいております。

もともと環境史が専門だった著者が、アメリカ史の修士号も取得し精通を成しえたところから、本書のような力作になったのだと窺い知れます。

たとえば、実際の雨量以上に文化的な心理に基づき「雨の都市」と呼ばれるアメリカ・シアトルとイギリスのマンチェスターの2都市。この2都市は、不安に満ちた独自の音楽ジャングルを生み出したのは、何も偶然ではなく、雨に関連していたのです。シアトルでは、グランジ(薄汚いという意味)、マンチェスターでは、ザ・スミスやニュー・オーダーetc..のバンドによる暗いギターポップとなりました。

さらには、著者の腕にかかれば「近代建築の三大巨匠」のひとりフランク・ロイド・ライドまで引っ張り出されます。その当時は、いかに「雨除け」に四苦八苦していたか窺い知れ、雨とともに歩んできたきた人類を鑑みられるのです。

雨が降るのが待ち遠しくなるエピソードが盛りだくさん。そして、著者の専門の環境史も忘れてはなりません。地球温暖化に対するボク達の日々の行動にも苦言を。自然・文学・音楽・雨具の歴史etc..と本書の翻訳は東郷 えりか氏ですからおススメの書籍です。


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中日春秋 8/20

 米国の小売店の棚には「雨」があふれているという。洗剤から美容製品まで、「雨」と名のつく商品が、ずらりと並んでいるそうなのだ。

洗濯洗剤は「爽やかな雨」で、柔軟剤は「よみがえる雨」。体を洗うためには「純粋な雨」というせっけんがあり、シャンプーは「白い雨」、男性用の制汗剤は「花崗岩(かこうがん)の雨」で、女性用は「雨にキスされた睡蓮(すいれん)」…と、雨ばかり。

人類と雨のかかわりを描いた『雨の自然誌』(河出書房新社)によると、一九七〇年代までは、米国でも「花」の香りが洗剤などの主流だったが、ここ三十年ほどで「雨」を思わせる香りが人気となった。米国では雨が新鮮なイメージを喚起するからだというが、日本で洗剤のたぐいに「よみがえる雨」と名付けたら、悪い冗談だと思われるだろう。

それにしても、本当に悪い冗談のような空模様。東京都心ではきのうまで連続十九日、仙台では二十九日も雨が記録された。仙台のここ二十日間の日照時間は平年のわずか五分の一だというから、望まれる洗剤の名は、「よみがえる陽光」だろう。

子どもの詩を集めた『ことばのしっぽ』(中央公論新社)を開いたら、山梨県の五歳の子が書いたこんな詩が載っていた。<もしもし/こうふけいさつしょ/ですか/くもをたいほしてください/あめをふらせてこまります>

くもの容疑は「なつやすみどろぼう」か。

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この本は読売新聞で50年連載が続いている、『子どもの詩』コーナーから、ステキな詩を更に選んで紹介したものです。詩はもちろん、大人が投稿してくれるものなので、一つ一つの詩には、共感してくれる身近な大人がいる、ということ・・・。僕はそこがすごく「素敵だなぁ」と感じています。

具体的にどんな詩が載っているかと言うと

【あめ】
あめ、ちょうだい
いっこだけでいいです
あか と みどり

【とけい】
もうちょっと
ゆっくりの
とけい
かいたい

【お姫さまごっこ】
さや(妹のこと)
お姫さまごっこしようよ
やだ
いっつもお姉ちゃん
ばっかり
お姫さまなんだもん
それじゃ
さやを王子さまにしてあげるから
王子
ごみをすててきてください

【せきがえ】
きょう 
せきがえが ありました
一がっき つかっていた
つくえと いすに
みんなにわからないように
チューしました

【かさ】
これ(かさ)は
あめのおとが
よくきこえる きかいです

【おてがみ】
まま わたしね ちっちゃいころ
ほこりがようせいさんからの
おてがみかとおもってたんだよ
かわいいね

【どんぐり】
なぜか
ひろってしまう
別に使わないのに
わすれてしまう
ハンカチを取る時
ポケットからころがり出る

【ねぇおかあさん】
赤ちゃんゆびって
いちばんはじっこで
さむくないのかなぁ?

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