カワウソ

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『画図百鬼夜行』より「獺」

狸、狐、貂らと同様に、化けて人を脅かすと言われる獺(動物のカワウソと同じ)。
地方によって様々な伝承があり、中には河童の正体は獺であるというものまである。
それについては、河童が結局のところ謎な妖怪であるので、その正体を川辺に棲息する獺に求めるのは自然な気もする。とにかく、恐らくあなたが思っている以上に、獺の伝承というのは色々なところに存在しているのである。
石燕の描いたこの獺は、これから化けるところなのか、それとも化け終えたところなのか、はたまた化け損なった姿なのか。何にしろ傘を被って提灯を持つ様はどこか人間臭くってかわいい。

ちなみにカワウソはラッコの仲間でもあり、性格は至って温厚。
きっとその愛くるしいカワウソに嫉妬して誰かが妖怪に仕立て上げたに違いない。うん、違いない。

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宮城県の事例

かつて仙台の荒巻伊勢堂山に、夜毎に唸り声を発する大岩があった。さらにはその大岩が雲をつくような大入道に化けるという話もあった。
当時の藩主の伊達政宗はこの怪異を怪しんで家来に調査させたが、戻って来た家来たちは、大入道の出現は確かでありとても手に負えないと皆、青ざめていた。
剛毅な政宗は自ら大入道退治に出向いた。現場に着くとひときわ大きな唸り声と共に、いつもの倍の大きさの入道が現れた。政宗が怯むことなく入道の足元を弓矢で射ると、断末魔の叫びと共に入道は消えた。岩のそばには子牛ほどもあるカワウソが呻いており、入道はこのカワウソが化けたものであった。以来、この坂は「唸坂(うなりざか)と呼ばれたという。
この唸坂は仙台市青葉区に実在しているが、坂の名を示す碑には、かつて荷物を運ぶ牛が唸りながら坂を昇ったことが名の由来とあり、妖怪譚よりもこちらのほうが定説のようである。

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中日春秋 8/18

昔話などで、何かに化けて人をだます動物といえば、キツネやタヌキを連想するが、この動物もなかなかの化かし上手らしい。カワウソである。

青森県の津軽地方では生首に化けて川を流れ、漁をする人を驚かせていたという話が残る。宮城県の伝説ではカワウソが大入道に化け、伊達政宗に退治されたそうな。水木しげるさんの『日本妖怪大全』にあった。

まさか人をたぶらかそうと現れたわけではあるまいな。琉球大学の研究チームが長崎県・対馬で野生のカワウソを確認したと発表した。国内で野生のカワウソが確認されたのは一九七九年、高知県で目撃されたニホンカワウソ以来、三十八年ぶりという。

気になるのはカワウソの種。絶滅したはずのニホンカワウソだとすれば対馬で細々と生き残っていたことになるし、ユーラシアカワウソなら、生息する韓国の離島から約五十キロも泳いで対馬にやって来たことになる。

見つかったふんからユーラシアカワウソのDNAが検出されているが、断言はできないらしい。どっちの種でも、キツネではなく、カワウソにつままれたような話である。

カワウソにつままれたとしても人間に叱る資格はなかろう。かつて日本全国に分布していたカワウソは明治以降、毛皮目当ての乱獲と河川の水質悪化などで姿を消していった。昔話と違い、ひどい目にあわせてきたのは人間の方である。

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越山若水 8/18

森の夜道を男が1人歩いていると怪しい声がする。「げた貸そか〜、傘貸そか〜」。テレビでかつて放送されていた「まんが日本昔ばなし」に、そんな回があった。

「竹やぶから化けもの」と題された話は、敦賀市内に残る民話に材を得たらしい。オチを明かすのは気が引けるが題名の化け物とはほかでもない、カワウソだ。

真っ暗な道中、雨に降られて難儀する男を見かねたとの美談である。人を化かすキツネやタヌキとは違い、彼らは優しい。そんな温かい地元民のまなざしを感じる。

長崎県・対馬で琉球大のチームがカワウソを撮影したという。これがニホンカワウソと特定されれば奇跡のようなニュースである。彼らは38年も前に絶滅したと考えられている。

昔は全国のどこにもいた。先の民話が残る敦賀市内には「獺河内(うそごうち)」、福井市にも「獺ケ口(うそがぐち)」という地名がある。この「獺」がカワウソで、身近な存在だったことをうかがわせる。

「獺祭(だっさい)」という言葉もある。近ごろは山口県の地酒の銘柄として知られるが、もともとは中国の書物「礼記(らいき)」の「獺(かわうそ)魚を祭る」から来た言葉だ。

カワウソは捕らえた魚を岸に並べる習性を持つという。それはまるで、物を供えて祭りをするようだと見立てた。いまは並べるほど魚もいない。そもそも「絶滅」させたのは誰か―。島の片隅で彼らは無言で抗議しているのだろうか。

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竹やぶから化けもの

演出:木村哲 文芸:沖島勲(脚本:平柳益実) 美術:古宮陽子 作画:数井浩子

あらすじ
むかし、ある村に九右衛門辻子(くえもんずし)という小さな道があった。この道は2つの寺のある大きな森の中を通っており、森の中には道を横切る小川があった。小川には半分朽ちかけた土橋が架かっており、辺りは浄泉寺のこんもりとした竹やぶ、その奥は良覚寺の墓場となっていた。そこは昼間でも薄暗く気味が悪いので、大の大人でも九右衛門辻子を通るのを避けていた。

しかし、全く通らないという訳にもいかず、ここに二人の男が村の寄り合いで遅くなったため、雨の中、夜の九右衛門辻子を急いでいる。二人が小川に架かる土橋のところまで来ると、小川から赤く光る目がのぞき、怪しい声が聞こえる。「下駄貸そか~~~、傘貸そか~~~」二人は震え上がり、大慌てでその場から走り去る。

それからしばらくして、彦三郎という男が親戚の招きで隣村まで行くことになった。隣村に行くためにはどうしても九右衛門辻子を通らねばならない。この彦三郎という男、臆病者であったが酒には目がなく、親戚の集まりで振舞われる酒のことなど考えながら九右衛門辻子を通って行った。彦三郎は親戚の家で勧められるままに酒を飲み、グテングテンに酔っ払ってしまう。

彦三郎が半ば追い出されるように親戚の家を出た時には、あたりは真っ暗になっており、おまけに黒い雲まで立ち込めていた。彦三郎が千鳥足になりながら九右衛門辻子を通る頃、とうとう雨が降り出した。彦三郎はそれでも上機嫌で鼻歌を歌いながら土橋のところまで来る。すると風が吹き始め、小川の中から赤い目が光る。そしてどこからともなく怪しい声が聞こえる。

「下駄貸そか~~~、 傘貸そか~~~。」酒が入っていた彦三郎はさほど怖いとも感じず、ちょうど雨に降られ濡れていたので、「下駄も傘も貸してくれ~~~!!」と怪しい声に答えた。すると竹やぶの中から傘と下駄が飛び出し、彦三郎の前にやって来た。彦三郎は、これで濡れなくて済むと思い、「化け物、明日返すぞ~~」と言って家に帰って行った。

翌朝、酔いから覚めた彦三郎は自分のしたことが怖くなってしまい、嫁さんと二人で化け物から借りた下駄と傘を恐る恐る見てみる。すると土間には馬の骨と馬用のわらじが転がっているだけだった。

これを聞いた村人は、雨に降られて難儀している彦三郎をみかねて、カワウソが助けてくれたのだろうと言った。それから九右衛門辻子の化け物の噂は消えて、周りに人家なども建つようになったという話だ。(カワウソが小川から顔をのぞかせる)

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獺祭(だっさい)とは

獺祭

山口県にある旭酒造が作る、国内外で愛飲されている吟醸酒です。吟醸酒とは、玄米の表面を40%以上削り取り、精米の度合いが60%以下の低温で時間を掛けて作ったものです。時間やコストがかかるため、値段も張り普通酒と異なります。
また、大吟醸酒の場合、玄米の表面を50%以上削り取る必要があります。「酔うため、売るための酒ではなく、味わう酒」をコンセプトに、杜氏制度を廃止した上で、社員と共に年間を通して作っています。一般的な酒作りは、杜氏と蔵人たちによって行われるため、旭酒造のこの取り組みは斬新なものでした。そのため、生産性が上がることはもちろん、お客さんの要望にも迅速に応えられるようになり、品質向上に繋がっています。

名前の由来

旭酒造の所在地「獺越(おそごえ)」の由来が、「川上村に古い獺(カワウソ)が居て、子供を化かして当村まで追越してきた」ということから獺越と称され、この地名から一字取って「獺祭」と名付けました。
また、獺祭とは獺が捕まえた魚を岸に並べて、祭りをするかのように見えることから、文章などを作る時に数多くの資料を広げることを意味します。

獺祭ができるまで

旭酒造では、「遠心分離システム」を採用しています。これは、1分間におよそ3,000回転し、遠心力によってもろみからお酒を分離させます。日本酒業界においてこのシステムは画期的で、袋吊りで絞った時と同じように無加圧状態でお酒を分離させられるため、純米吟醸酒のもつ香りなどが損なわれず、非常に純度の高い酒が完成します。

袋吊り
もろみが完成してから酒を絞る過程で、槽を使用せずにもろみの入った布袋を吊るし、圧力をかけずに自然に落ちた酒のみを集める方法です。

海外でも人気がある

獺祭は、国内だけでなく海外でも人気があり、ニューヨーク・パリ・香港などの飲食店においても展開しているのです。このように、旭酒造が特に力を入れているのが海外市場の開拓です。2002年に初めて海外進出したところが台湾で、一定の成果を得てから米国に販売ルートを作りました。

獺祭のラインナップ

獺祭 発泡にごり酒 スパークリング50
獺祭には、さまざまな種類があり「発泡にごり酒 スパークリング50」は、女性の間で非常に人気があります。この酒の特徴は泡で、通常の炭酸ガスではなく酵母が発酵した時に生まれる二酸化炭素になります。瓶の中では、酵母から生まれた二酸化炭素により気圧が高くなっており、開栓するとポンッと心地よい音が鳴ります。

獺祭 磨き二割三分
繊細で、上品な香りと旨味が特徴です。ふんだんにお米を使っているため、お値段は張りますが飲む価値は十分にあります。ヨーロッパにおいて、最も権威のある食品コンクール「モンド・セレクション」を2002年に金賞受賞しています。米の精米歩合23%、日本最高峰といっても過言ではありません。精米歩合とは、玄米に対する重量の割合を指します。精米歩合60%であれば、玄米の表面を40%削り取って米ぬかに、60%まで磨いていること表します。
このことから、精米歩合の数値が低いほど、硬度に精米しているということになります。吟醸酒は27%が最高でしたが、二割三分の登場によって記録が塗り替えられ、酒造関係者を驚かせました。

おわりに

獺祭は日本酒を飲んだことのない方、苦手な方にも楽しんで飲めるように開発されたものです。獺祭の裏舞台を知ることで、より楽しんで飲んでいただけたら幸いです。

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