百合は霊魂の光だ


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目次

天安門事件と 「08憲章」 を一つにする存在――序にかえて
子安宣邦

劉暁波について
及川淳子


Ⅰ 〈詩〉 天安門事件――墳墓からの叫び             劉暁波

十七歳へ 〔2周年を迎えて〕
(劉燕子訳)

記 憶 〔6周年を迎えて〕
(劉燕子訳)

ぼくのからだのなかの天安門事件 〔12周年を迎えて〕
(劉燕子訳)

六四、 一つの墳墓 〔13周年を迎えて〕
(劉燕子訳)


Ⅱ 天安門事件の真相隠蔽に抗する――中国民主化の原点   劉暁波

忘却に対する記憶の闘い 〔15周年を迎えて〕
(劉燕子訳)

「天安門の母たち」 ――受難が生んだ高貴で堅固な思想
(横澤泰夫訳)

歴史の真実を恐れる独裁権力 〔17周年を迎えて〕
(横澤泰夫訳)

文化大革命から天安門事件まで――中国民主化の挫折
(横澤泰夫訳)

これは 「住民虐殺」 である――真の友好は真相究明を求めること 〔18周年を迎えて〕
(横澤泰夫訳)

「転換期の正義」 ――変革に暴力革命は必要ない 〔18周年を迎えて〕
(横澤泰夫訳)


Ⅲ 希望は民衆の自治・共生にあり――中国民主化への突破口  劉暁波

寛容精神にもとづく抵抗に無力な独裁権力―― 「箱舟教会」
(蒋海波訳)

一人一言の真実が独裁権力を突き崩す――言論の自由こそ民主化の出発点
(及川淳子訳)

四川大震災の受難に見る希望の光――民間による自発的な自治・共生
(及川淳子訳)

民間組織はすべて 「非合法組織」 なのか――結社の自由をめぐって
(蒋海波訳)


Ⅳ 「08憲章」 とは何か――中国民主化の方途

「08憲章」 (全文)
(及川淳子訳)

我々と劉暁波を切り離すことはできない――劉暁波を釈放せよ
(及川淳子訳)

アジアにおける 「08憲章」 の意義
余 傑 (及川淳子訳)

なぜ私は 「08憲章」 を支持するのか
子安宣邦


編者解説     劉燕子
編者あとがき   劉燕子

…………………………

中日春秋 7/15

「百合は霊魂の光だ」と書いたのは、中国の民主活動家・劉暁波さんである。

民主化を求める人々が武力で圧殺された天安門事件。その日がめぐり来るたび、劉さん夫妻は、百合を部屋に飾ったという。彼は、書いている。

<白い百合が暗夜にきらめく。ほころぶ花びらと緑の葉がきらめく。淡い花の香りがきらめく。まるで霊魂の死んでも死にきれない瞳のようだ>(『天安門事件から「08憲章」へ』藤原書店)

天安門事件のときに彼は、自由のためには非暴力での抵抗を貫くことこそが大切だと訴えた。「憎しみは暴力と専制を生み出すのみ」との理念を投獄されても変えず、国家政権転覆扇動罪に問われた裁判で、言い切った。「私には敵はいない。私には憎しみはない」。自分を弾圧した警察官や検察官も「みな私の敵ではない」と。

二〇一〇年のノーベル平和賞の授賞式に劉さんは出席できず、彼が座るべき椅子は空席のままだった。六十一歳での早すぎる死を、ノルウェーのノーベル賞委員会は「彼が座るべき椅子は永遠に空席のままとなってしまった」と悔やんだが、その席に似合うのは、純白の百合であろう。

彼は、こうも書き残した。<百合は、霊魂のために灯(とも)された祈りの火で、ぼくをじっと見つめ、熱く燃えあがらせ、明るく照らしだす。自由を渇望した人は死んだが、霊魂は抵抗のなかで生き続けている>
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