宇宙の“大掃除”

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どんなホコリも逃さない…!

NASAも注目しているヤモリの足の吸着力、ただ壁にくっつくだけではなくて掃除にも使えるようです。ヤモリが垂直な壁を登れるのは足の裏がベタベタしているから…ではないんですね。実は足の裏に微かな毛のような突起物がたくさん生えていて、その毛が生みだすファンデルワールス力を利用して壁にくっついているんです。

ファ、ファンデルワールス力…?

NASAによる説明をこちらの記事から引用してみましょう。

原子核の周りを回っている電子は均等に配置されていないため、わずかな電界が発生し中性分子にプラスとマイナスが発生します。プラスに帯電している部分は近くにある分子のマイナスに帯電している部分を引きつけます。その結果「くっつく」ということが起きます。しかも極限の温度、圧力、放射能のもとでも、このくっつく力は持続します。
ベタベタによる吸着力ではなく電気的な吸着力なんですね。

このファンデルワールス力を生み出すヤモリの足、イェール大学の研究者によると捉えるのが難しい微細なホコリも吸着してくれるそうです。そこで研究者たちはこの極小の構造を真似た素材を作り出したとのこと。ポリジメチルシロキサンと呼ばれるポリマーによる一枚のシートは、表面に直径2ミクロンから50ミクロンの突起物を備えています。

このシートはヤモリの足とは違って、シート自体がどこかにくっついてしまうほどの吸着力は持っていません。ですが、細かいホコリの粒子を吸着するほどの力はあるそうです。下の画像では50ミクロンの突起物にシリカ粒子がくっついている様子が確認できます。研究はACS Applied Materials and Interfacesに発表されました。

ヤモリの魔法のフォース「ファンデルワールス力」が究極のお掃除ツールに

この素材を使って、さまざまな表面でテストしてみたところ、表面に傷をつけず効率的にホコリを吸着できたそうです。芸術作品の手入れなどを念頭に置いたプロジェクトだったそうですが、何にでも応用できる可能性が見えたとのこと。我々の家の掃除にも使えるプロダクトが登場するかもしれませんね。


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滴一滴 7/13

姿形から人々に敬遠されることの多いヤモリ。だが、一方では害虫を捕食する家の“守り役”ともみられてきた。今度は宇宙を舞台に、その機能が存在感を発揮するかもしれない。

天井やガラス窓などを自在に歩くヤモリの足の吸着力は、密生した微細な毛が担っている。それをヒントに、米スタンフォード大や米航空宇宙局(NASA)のチームが、宇宙ごみを捕まえる技術を開発したという。

役目を終えた人工衛星やロケットの残骸などの宇宙ごみは、直径10センチ以上のもので約2万個に上る。高速で地球を回っており、人工衛星や国際宇宙ステーションなどとの衝突も懸念される。除去は喫緊の課題だ。

NASAなどは長さ約0・1ミリのシリコーン素材の「毛」を持つ吸着シートを開発。毛の傾きを調節することで吸着や放出ができるようにした。飛行機内での無重力の実験で、最大重量約400キロの物をつかんで移動させることに成功したという。

実際に通用するかどうかは定かでない。だが、ごみ問題は宇宙開発の成果に目を奪われ、後々訪れる課題への備えを怠ってきたツケだろう。開発競争を進めてきた国々の対応が問われる。

宇宙は子どもたちの夢を膨らませる存在でもある。その空間で、ごみが増え続ける現実は情けない。国際社会が知恵を結集し、宇宙の“大掃除”といきたい。
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