平和な世界を想像して

日報抄 7/7

 古今東西あまたのカップルあれど、互いに尊重し、刺激し合える関係は何組あるだろう。ビートルズの故ジョン・レノンさんと妻のオノ・ヨーコさんを理想に挙げる人は多いかもしれない。名曲「イマジン」がヨーコさんとの共作だったと、先ごろ認定された。

「みな子と利雄」の二人三脚も負けてはいない。没後10年になる新潟市ゆかりの芥川賞作家、大庭みな子さんと夫の利雄さんだ。利雄さんは54歳で会社を辞め、秘書として妻の思索を支えた。

みな子さんは原稿を書き上げると夫に見せ、議論した。病に倒れ、半身が不自由になってからは利雄さんが口述筆記した。どちらの作か分からないほど、2人のアイデアが融合した作品も多かった。

このほど出版された「大庭みな子 響き合う言葉」には、利雄さんの自筆誓約書が載っている。「浮気したら殺されても文句を言わない」という内容だ。2人が交わした書簡からは、深く理解し合う、濃密な関係の一端が伝わってくる。

代表作にちなんだ忌日「浦島忌」には今も遺族や研究者が集まる。今年88歳の利雄さんは「生きがいのない10年だった」と振り返り、長女優さんは「父は母と出会ってからずっと目がくらんでいる」と笑う。

2人はめぐり会ってから900通余の手紙をやりとりした。真正面から半世紀以上向き合った。こうして人間関係の最小単位がぽっと光り、あちらでも光り、この星は輝く。「平和な世界を想像して」。ジョンは歌った。多くの願いがともる七夕である。

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