みんなのほんとうのさいわい

談話室 7/7

きょうは七夕。昔読んだ宮沢賢治「銀河鉄道の夜」の天の川がすぐ思い浮かぶ。造語や謎めいた言い回しが子どもには難解な童話だが、懸命に頭で場面を映像化しつつ読んだ覚えがある。今も天の川はそのイメージだ。

空想といえども、研究者は作中の星座や植物を手掛かりに舞台をさまざま推理している。風景は賢治の故郷岩手がモデル。季節は夏だが、七夕からお盆、初秋まで諸説あるらしい。一方、登場人物の顔については賢治がほとんど言及しておらず、読み手の想像に委ねている。

米沢市出身の漫画家ますむらひろしさんは猫をキャラクターにして賢治童話を描き、「銀河鉄道の夜」はアニメ映画も好評を得た。反発もあったが、原作に抱く読者個々のイメージを損ねずに映像化する狙いから「猫でやる必然性は、あったのだ」と自作あとがきに記した。

子どもたちが天の川を思い描く七夕の夜空。現代は文明の光があふれ、星の光は弱々しい。まして記録的豪雨に見舞われる九州地方では、星どころではないだろう。せめて東北の地から、ジョバンニ少年の言う「みんなのほんとうのさいわい」を願い、短冊にしたためたい。
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