保健室通勤

春秋 6/26

「保健室登校」という言葉が広く言われだしたのは30年ほど前だったろうか。学校には行くものの友人関係での不安やストレスなどが理由で教室に入れず、保健室で過ごす子どもたちを指していた。

最近は「保健室通勤」という実態もあると聞く。体調が悪いのでも教室に入れないのでもない。業務多忙で家に帰れず、やむなく保健室のベッドで夜を明かす。翌日そのまま授業に出る先生がいるのだという。

教育現場が悲鳴を上げている。文部科学省は4月、教員の勤務状況の調査結果を公表した。「過労死ライン」を超える時間外労働をしていたのは小学校33・5%、中学校で57・7%にも達した。尋常ではない。

授業の準備や提出物の添削、子どもへの指導だけでこの数字なら、むしろ本望かもしれない。実情は会議や学校内外へ出す書類の作成、保護者などとの連絡調整に追われ、休日返上の部活動指導が待つ。先生個々人の熱意で補うにも限度がある。

松野博一文科相は教員の働き方改革の検討を中央教育審議会に諮問した。負担軽減策を議論してもらい年内にも緊急対策をまとめるという。急を要する。学校が「ブラック職場」と呼ばれる国に未来はない。

文科省には教員がたっぷり児童生徒に向き合える環境へと整備を願いたい。今どきの言葉を使えば「子どもたちファースト」である。無論、あの獣医学部の真相解明は二の次、という意味ではなく。
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