世界難民の日

中日春秋 6/20

「子どものあなたにとって戦争とはなんでしたか」と問われて、ある人はこう答えた。「ナイロン製の袋に、私の子ども時代は隠してある。それは、私が難民になったときに、家から持ち出したものすべて。」

二十万人近くが殺され、二百万人以上が難民となったボスニア・ヘルツェゴビナ紛争。その中で子どもたちは、どんな日々を送っていたのか。その証言を集めた『ぼくたちは戦場で育った サラエボ1992-1995』(角田光代訳)には、こんな言葉が並ぶ。

「戦争中に子どもでいるってことは、子どもではいられないってこと」「自分が子どもだって気づく前に、いい思い出も持たない大人になっていた。子どもでいられる時間はやつらに盗まれた」「スナイパーは兄を殺した。ぼくが子どもでいられる時間も。」

そういう思いを抱える子どもたちは、今も増え続けている。国連児童基金(ユニセフ)などによると、世界の子どもの二百人に一人は難民で、一千万人を超えているという。

戦火などで、故郷を追われただけではない。学齢期にある難民のうち半数以上は、学校に行くこともできないでいるという。親と離れて国境を越える未成年が激増して、人身売買業者らの牙にかかっているのではないかと危ぶまれている。

「子ども時代を盗まれている子どもたち」に目を凝らしたい。きょうは「世界難民の日」だ。

201706200943330ca.jpeg
関連記事