タワーリング・インフェルノ

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春秋 6/17

 超高層ビルには住みたくない。この映画を見た時、子供心にそう思った。1974年の「タワーリング・インフェルノ」。超高層ビル火災を描いたパニック映画だ

米サンフランシスコに完成した138階建ての超高層ビルで落成式のさなかに火災が起きる。電気系統から生じた小さな火は、あっという間に巨大な炎となってビルを包み込んだ。出口を求めて逃げ惑う人々。決死の救出作業を続ける消防隊員…。

火災の原因は経費を削るために行われた電気系統の手抜き工事だった。ビルの安全性を過信するオーナーが落成式の中止を渋ったことで避難が遅れ、大惨事となった。

タワーリング・インフェルノは「そびえ立つ地獄」という意味だ。ビルが炎に包まれるニュースの映像に、古い映画の題名が胸をよぎった。ロンドンで起きた24階建て高層住宅の火災。約120世帯が入居し、数百人が建物内にいたという。

住民が眠りに就いた未明の出火。窓辺で助けを求める声。炎に追われて飛び降りる人。この子だけは、と10階から赤子を投げた母もいた、と。まさに地獄だ。

くしくも、建物は映画が公開された74年の建造。老朽化対策は施されていたか。火災報知機やスプリンクラーが作動しなかったという証言も。住民らは以前から防火体制の不備を訴えていた。超高層ビルが象徴する人のおごりや油断、利益優先の安全軽視-。映画の警鐘は今なお重く響く。


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