四猿

卓上四季 6/17

目や口を覆ったり、耳をふさいだり。どこかユーモラスな栃木・日光東照宮の彫刻「三猿」が最近、65年ぶりに大がかりなお色直しをしたとか。

三猿は、孔子の論語が由来とされる「見ざる、聞かざる、言わざる」を表しているが、原文はその後に「せざる」が続く。台湾やインドなどには「せざる」を加えた四猿の彫刻がある。国内では四猿の読みは死猿に通じて縁起が悪いので三猿が多いとも言われる。

安倍内閣になって成立した法律を見ていると、三猿の教えを思い出す。特定秘密保護法は機密漏えいを防ぐ名の下に情報を囲う。今回の「共謀罪」法は犯罪が実行される前に話し合って準備を始めた段階で罰する。乱用されれば、どうなるか。

たとえば安保関連法が拡大解釈される事態になっても、国民は「見ない、聞かない、言わない」よう無言の圧力を感じるかもしれない。結局、四つ目の「何もしない」方が得だ、と考える風潮がはびこりかねない。

孔子の教えは世間を渡る処世術のように受け取られがちだが、本来の意図は違うようだ。自分が正しいと思うことはむしろ、積極的に実践すべきだと説いている。

西欧にも三猿があり、似た教えが込められている。「見ろ、聞け、口はつつしめ、もし平穏な生活を望むならば」(飯田道夫著「世界の三猿」)。平和な世を望むならば「見ろ、聞け、しゃべれ」、そして「行動」しなくては。

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