ハート

滴一滴 6/10

冥王星で巨大なハートの模様が発見されて話題になったのは、2年前のことだ。米航空宇宙局(NASA)の無人探査機が到達し、地球に送った画像に写っていた。地表が氷などで覆われて白くなり、形作られたのだという

10年ほど前に惑星の座から外されたが、冥王星はかつて20世紀に発見された唯一の惑星だった。ローマ神話の冥界の王・プルートの名を付けた。

その名にちなんだ物質がプルトニウムである。茨城県の日本原子力研究開発機構の研究施設で起きた事故で、国内で過去最悪の重大な内部被ばくが明らかになった。作業員が金属容器のふたを開けたとたん、中からプルトニウムの粉が飛び散った。

26年間、容器は点検も開封もされていなかったという。作業員はすき間のできやすい半面マスクを身に着け、しかも事故後、汚染された部屋に3時間も待機させられた。機構の対応はずさんとしか言いようがない。

福島の原発事故であれだけ放射能の「怖さ」が身にしみながら、なぜもっと危機管理できなかったのか。まさか機構に「安全神話」はなかろうが、福島の教訓はどこに行ってしまったのかと聞いてみたい。

扱っていたのは核兵器にもなる危険物だった。「ハート」に話を戻せば、日常の「心構え」も、いざという時の「心づもり」も組織に欠けていた今回の事故である。


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データから、冥王星の表面にあるハート模様の地下に、氷の混ざった冷たい水の海が存在する可能性が示された。

冥王星の表面に見られるハート型の地形「トンボー領域」は、冥王星の衛星カロンに対して反対の位置にある。地球から月の裏側が見えないのと同様、カロンから冥王星のトンボー領域を見ることは決してできない。この位置関係について納得のできる説明はこれまでなかったが、トンボー領域の表面下にあると推測される海の存在がその謎を解く鍵になるかもしれない。

NASAの探査機「ニューホライズンズ」が取得したデータによると、冥王星とカロンがお互いの周りを回りながら力のつり合いをとっていくうちに、冥王星の地表下の厚く重い海とその上にあるトンボー領域の位置が動いたのだろうと考えられるという。

トンボー領域の左上に位置する明るい「スプートニク平原」は凍った窒素で覆われている。この窒素は地下から供給されているとみられ、これは平原の地殻が薄いことを示唆するものだ。もし実際に地殻が薄く、さらに平原が天体衝突でできたものであれば、その衝突の際に内部から物質が噴き出して冥王星の質量バランスが崩れただろう。

ニューホライズンズのデータから冥王星の内部構造モデルを構築し、冥王星の大きさやスプートニク平原の温度、圧力を考慮したところ、平原の地下に流動性の低い水氷混じりの海のような層があれば、トンボー領域がカロンの反対側に位置するような変化が起こりうることがわかった。

また、トンボー領域が冥王星のほぼ赤道上にあることも、同領域とカロンとの位置関係が保たれてきた理由の一つと考えられている。過去数百万年にわたる冥王星の表面温度についてのモデルによると、冥王星の南北の極は凍てつく冬と高温の夏がそれぞれ長く続くという激しい温度変化に見舞われるが、赤道領域では3日毎に昼と夜が訪れ穏やかな温度変化が示された。

つまり、赤道付近では氷が溶けきることがなく、どんどん溜まっていくことになる。スプートニク平原の位置はカロンの正反対に当たっているが、モデル計算によれば、この平原には数百万年以上にわたって氷床が残っていたと考えられる。長い間スプートニク平原に堆積し続けた氷も、トンボー領域とカロンとの位置関係を決める役割を果たしていたのかもしれない。
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