正々堂々

大自在 6/1

 「正々堂々」とは実に分かりやすい言葉だ。辞典を繰れば、態度や手段が正しくて立派なさま、とある。軍旗が正しく整うとともに陣構えの勢いが盛んなさまを表しているそうだ。大相撲の高安が大関昇進の伝達式で決意の口上に盛り込んだ四字熟語である。

 大関昇進の際、これまでにも一意専心、万里一空など自ら選んだ四字熟語にさらなる飛躍を誓った力士は少なくない。どんな状況でも顔色一つ変えず、胸を張っている。高安は自分の理想とする大関像に正々堂々の言葉を重ねたのだろう。

 約1年前からその思いを胸に秘め、闘ってきたという。猛稽古で自信も付いてきたに違いない。そう言えば立ち合いのかち上げや突き、押しと馬力を生かした攻めは場所ごとに迫力が増してきたように思う。

 この夏場所、初日から3連勝した時、郷土茨城県の大先輩、藤島審判部副部長(元大関武双山)が立ち合いの鋭さを「相当な威力。普通の力士じゃ無理」と絶賛していたのが印象深い。多くの困難を乗り越えて射止めた大関の座でもあろう。

 初土俵を踏んだのは12年前の春。その後、何度も実家に逃げ帰ったが、辛抱することの大切さを諭し、優しく見守った両親と、厳しく、そして温かく指導した先代師匠の故鳴戸親方。故親方には、大成する人は素直な心を持っていると常々言われたという。

 何より大きいのは兄弟子の横綱稀勢の里の存在だ。「今の自分があるのは横綱のおかげ」。全員30代の横綱に対し、27歳の大関はこれからが“旬”。多くの支えを力にもう一つ上を目指してほしい。
関連記事