サヤエンドウ

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四季風 5/26

サヤエンドウの旬である。プランターで育てた苗が実をつけ、ささやかながら、夕げの点景になってくれる。元は畑を持つご近所さんが「自由に育ててください」と添え書きで並べた苗である。

子どもの頃はどこでも目にしたものである。エンドウ豆のつるを竹にからませた懐かしい風景が目に浮かぶ。学校帰りに、ちょいとつまんでみた思い出もある。夏目漱石は『こころ』の中で畑ばかりの中に住宅が見え始めた、その描写にエンドウを使った。

田山花袋は『田舎教師』で、農村風景を「畠には豌豆(えんどう)と蚕豆(そらまめ)、麦笛を鳴らす音が時々聞こえて、燕(つばめ)が街道を斜めに突っ切るように飛びちがった」と描いた。いま、散歩途中に見る光景そのものである。

サヤエンドウ、キヌサヤ、グリーンピースと多彩な名前を持ち、エジプトのピラミッドから紀元前のものが発掘されたことでも知られ、世界最古の豆とも言われる。平安時代の辞書「和名抄」の野豆とあるのはエンドウ豆のこと。当時は食べる習慣はなかったらしい。

若いさやごとのバター炒めは食べ出したらもう止まらない。あえ物でもテンプラでも吸い物でもうまい。五目ずしにも、あの初夏の緑が映える。旬を味わう妙味である。

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それでも所々ところどころ宅地の隅などに、豌豆えんどうの蔓つるを竹にからませたり、金網かなあみで鶏にわとりを囲い飼いにしたりするのが閑静に眺ながめられた。

〔出典〕こころ(新字新仮名)/夏目漱石(著)

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農家の垣には梨の花と八重桜、畠には豌豆えんどうと蚕豆そらまめ、麦笛むぎぶえを鳴らす音が時々聞こえて、燕つばめが街道を斜めに突つっ切きるように飛びちがった。

〔出典〕田舎教師(新字新仮名)/田山花袋(著)

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