小役人

風土計 5/23

役所に入った息子の帰りが毎日遅い。残業が多く夜10時、11時にもなる。疲れ切った様子で、いつもの元気がなくなった。どこか良い転職先はないだろうか。

こんな相談を知り合いから受けた。転職と言っても安定度で公務員に勝る仕事はない。答えに窮する中、役所の様子が思い浮かぶ。県庁も一部は深夜まで明かりがついているし、沿岸の役所も復興事業で大変そうだ。

地方公務員の時間外勤務を初めて総務省が調べた。一人当たり残業時間は民間を上回り、過労死ラインを超える職員も少なくない。人は減らされたのに仕事は増える。部署にもよるが、気楽な宮仕えは昔の話らしい。

夏目漱石の「道草」で、主人公の兄が「小役人」として登場する。過酷な仕事を強いられ、年より早く老け込んだ。人が減らされることに絶えずびくびくしている。それでも家族のために働かざるを得ない

「色沢(いろつや)の悪い顔をしながら、死ににでも行く人のように働いた」。今ならば過労死ぎりぎりだろうか。明らかに働き過ぎだが、職場では何の改善も行われない。100年も前から役人には残酷物語があった。

「色沢の悪い顔」で仕事をしていては、奉仕者として適切な住民サービスができまい。過労をなくすために、まずは職場の中で見直す点はないか。民間のみならず、役所の働き方改革も必要だろう。
関連記事