戯(ざ)れ文

小社会 5/20

 昔の人ならこんな戯(ざ)れ文でも作ったのではないか。わが国に「霞が関文学」というものあり。官僚として出世を志す者は、この文学の骨法を習得し、法案や文書の作にいそしむこと。

 一、文章の基調は玉虫色を旨とすべし。どうとでも取れる曖昧さが命なり。持って回った言い方で難解な用語をこねくり回し、一文はできるだけ長いをよしとする。カタカナ語で読む者をケムに巻くのも有用なり。

 一、拡大解釈の余地を残すべし。法案には「○○等」「その他」などを巧みに織り込むこと。「等」とあれば後々、いかような文言でも追加でき、すこぶる重宝なり。恣意(しい)的な解釈ができる点では、「…の恐れがある場合」も便利なり。
 
 一、言葉の置き換えを多用すべし。例えば「できない」という否定的表現も、「慎重に検討する」といえば柔らかくなる。反対意見を丸め込む際などに効果あり。役人の世界で「検討する」は「やらない」の同義語なり…。

 このへんで置くが、きのう衆院法務委員会で可決された共謀罪法案も、戯れ文の骨法を十分に受け継いでいる。新設される罪名自体、「テロ等準備罪」だ。捜査当局の拡大解釈や恣意的運用で、監視社会を招く懸念も解消されていない。なのに安倍政権は採決を強行した。

 なぜそう成立を急ぐのか。安倍首相は東京五輪のテロ防止を強調し、共謀罪と言葉を置き換えた。永田町文学の悪質さも相当なものである。


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