ホタル飛ぶ町

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「ゲンジボタル」
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水鉄砲 5/19

 「ホタルが飛び始めている」と聞いて、早速、毎年のように観賞に出掛けている上富田町の川べりに出掛けた。

 まだ5月半ばであり、少々肌寒かったせいもあるのだろう。飛んでいるのはほんの十数匹。それぞれが闇の中で2、3秒置きに淡い光を点滅させていた。よく見ると、川辺の草むらの中でひっそりと明かりをともしているのも少なくない。

 この光景を見ながら、子どもの頃、毎晩のように竹ぼうきを手に、近くの川べりに出掛けたことを思い出す。ホタルが乱舞している場所でほうきを振り回すと、小学生でも必ず、3匹や5匹のホタルが捕れた。それを持参した瓶に移して持ち帰り、明かりを消した奥座敷においておくと、柔らかな明かりを点滅させる。

 「きれいなもんやな」と母親や妹が喜ぶ。同時に「あとで放したげや。ホタルにも尊い命があるんやから、それを勝手に縮めたらあかんで」と必ず注意された。60年以上も前の話である。

 その後郷里では、水田の除草や害虫駆除のため、盛んに農薬が使用されるようになり、それに伴ってホタルの姿も見られなくなった。最近になってようやく復活したそうだが、紀南でも同じような経過をたどったのだろうか。

 紀南にはいま、ホタルの名所がいくつもある。それぞれ土地の人たちが生息できる環境を整えてきたからだろう。人間の暮らしと環境保全。ホタルに魅せられるだけでなく、常にそのことを考えていきたい。 
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