杞憂でなく希望

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時鐘 5/16

 杞憂(きゆう)とは、天(てん)が落(お)ちてきたらどうしようと不安(ふあん)のあまり夜(よる)も眠(ねむ)れなくなった男(おとこ)の話(はなし)である。心配(しんぱい)してもしょうがないことを心配するな、との意味(いみ)でつかわれる。

小惑星(しょうわくせい)の衝突(しょうとつ)から地球(ちきゅう)を守(まも)るための国際会議(こくさいかいぎ)が東京(とうきょう)で開幕(かいまく)した。これも現代版(げんだいばん)の杞憂と言(い)えなくもないが、先月(せんげつ)19日に地球から180万キロ(地球と月(つき)の距離(きょり)の約(やく)4・6倍(ばい))のところを大きさ約650メートルの小惑星が通過(つうか)したニュースを思(おも)い出(だ)せば、杞憂とは言えまい。

20年ほど前(まえ)まで、ミサイルをミサイルで撃(う)ち落(お)とすのはピストルの弾(たま)をピストルで撃つのと同(おな)じで不可能(ふかのう)に近(ちか)いとされていた。しかし、今(いま)は北朝鮮(きたちょうせん)のミサイルを撃ち落とすミサイル防衛(ぼうえい)は現実(げんじつ)となっている。

では、地球に衝突しそうな小惑星はどうするか。宇宙航空研究開発機構(うちゅうこうくうけんきゅうかいはつきこう)(JAXA)はきのうの会議(かいぎ)で、宇宙工学(うちゅうこうがく)の技術(ぎじゅつ)で貢献(こうけん)できるとあいさつをしている。SF映画(えいが)のような世界(せかい)だが、心強(こころづよ)い言葉(ことば)ではあった。

恐竜(きょうりゅう)は巨大隕石(きょだいいんせき)の衝突で絶滅(ぜつめつ)したとされる。だが、人類(じんるい)は恐竜とは同じ運命(うんめい)をたどらない。天の脅威(きょうい)も軍事的愚行(ぐんじてきぐこう)も阻止(そし)する科学(かがく)の力(ちから)がある。杞憂ではなく希望(きぼう)と呼(よ)びたい。
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