若者の三大○○離れ

越山若水 5/15

「若者の三大○○離れ」というフレーズがある。その代表は海外旅行、ビール、クルマらしい。若者の内向き志向や付き合いの悪さを裏付ける理由に挙げられる。

果たして本当なのか。「だから数字にだまされる」(小林直樹著、日経BP社)が反論を加えている。海外旅行を検証するため20代の出国者数をチェックした。

「地球の歩き方」が発売された1979年、出国者は100万人を突破し96年は463万人を記録。しかしこれをピークに2015年には253万人まで減少した。

確かに20年ほどで45%、210万人もの大幅な減り方だ。これなら大騒ぎしても仕方ない。でもちょっと冷静に考えよう。96年の20代人口は第2次ベビーブーム世代を含み1900万人を超えていた。

一方、2015年の20代は出生率が過去最低で「1・57ショック」と呼ばれた89年の前後。96年より33%少ない1274万人まで落ち込んだ。出国者が減るのは当然である。

ちなみに20代の出国者率を見れば、96年は24%、15年は20%で大差ない。むしろ80年代以前は1ケタ台で「近ごろの若い者は…」とはとても言えない。

具体的な数字やデータで説明されるると、つい警戒心を緩め信じてしまう。相手をだまそう、説得しようとする悪者の思うつぼ。何事も疑うべし―とは悲しいが、数字の魔力対策には自分の目で確かめるしかない。

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だから数字にダマされる
 「若者の○○離れ」「昔はよかった」の9割はウソ
内容紹介

学者やアナリストら統計のプロ、そしてマスコミも見落とす「落とし穴」とは?
数字の読み方が劇的に変わる

「最近の若い人は内向き志向で海外旅行に興味がない」これ、ウソです。統計調査やアンケートの結果は、そのまま受け止めると実態とズレが生じてしまいます。
 日本からの海外渡航者に占める20代の比率が大きく下がっている。これは事実。しかし20代の人口そのものが少子化で大きく減っているのだから、20代の渡航者も減るのは当然です。20代の中で渡航者の割合をみると、80年代後半のバブル期の20代よりも上回っています。「若者の海外旅行離れ」はかなり無理がある。ウソと言っていいでしょう。

「若者の○○離れ」と言われているものの多くが、実は離れていなかったり、離れはしたが他世代も同様に離れていたりします。そして若者に限らず、こうしたイメージだけでレッテルを張っている例が随所に見られます。
 いわゆる「統計にダマされない」系の類書は、「数字で一般人をダマして買わせようとする悪い大人がいるから、惑わされないようにしよう」という趣旨ですが、実際のところ、学者やアナリストら統計のプロらも意図せず検証を欠いたデータを公表し、それをメディアが無批判にニュースとして報じることで、おかしな数字が悪意なくニュース視聴者・閲覧者に届いてしまっているのが実情です。
 本書ではそうした具体的な事例をケースに分けて紹介し、違った角度からの見方を提示しました。

これって、ホント?ウソ?
◆消費不況の元凶は、モノを欲しがらない若者のせい?
◆内向き志向の若者急増で「海外旅行」に興味ナシ?
◆「キレる若者」が急増しているのは教育が悪いからか?
◆禁酒すると早死にする?朝食を食べると頭が良くなる?
◆英語教師のTOEICスコアが高いと生徒の成績が上がる?
◆「使えない人材」を輩出するワースト1位は○○大学?
◆保育園の建設に反対しているのは中高年の頑固オヤジ?

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