ひよっこ

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南風録 5/11

 畳の上を小さな人形やバスが動き、ファスナーの上を汽車が走る。畳は田園風景に、ファスナーは線路に見える。4月に始まったNHK連続テレビ小説「ひよっこ」のオープニングで、ちょっと変わった映像が流れている。

 制作の中心になったのは鹿児島市の田中達也さんだ。身近な食品や文具などを自然や建造物に見立てて人形と一緒に撮影し、インターネットに毎日写真を発表してきた。

 高度経済成長期を舞台にしたドラマに合わせ、今回は昭和の日用品を使った。そろばんやタイプライター、花柄の炊飯器などを使って再現した風景は、桑田佳祐さんの歌う主題歌と相まってどこか懐かしく優しい。

 コンピューターグラフィックや撮影の効果もあろうが、一瞬のひらめきと意外な着想が決め手になる。田中さんの目には並べたそろばんが団地に、タイプライターのキーボードが競技場の客席に見えたようだ。

 本紙「オセモコ」の子ども記者には「ものを観察する楽しさを知ってほしい」と答えた。子どもの頃の自由な発想を思い出し、大人が本気で考えるから面白い。何かを足したり、逆さから眺めたりすることで見えてくるものがある。

 消しゴムを車に、教科書やノートを建物に見立てて、勉強机に街をつくった記憶のある方もおられよう。田中さんは6月、台湾で初めての個展を開く。小さなアイデアが大きく世界に羽ばたく。
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