早く寝なさい

南風録 5/9

 視聴率が50%を超えたこともあるというからテレビ史に残る昭和の人気番組だった。土曜の夜8時から放送されていたザ・ドリフターズの「8時だョ!全員集合」である。多くの小学生が楽しみにしていたものだ。

 「お風呂入れよ、頭洗えよ、歯磨けよ、宿題やれよ」。1時間近い番組の終わりに加藤茶さんがこう呼びかけると、子どもたちは現実に引き戻された。「早く寝なさい」と言われているように聞こえた。

 40年以上前のことを思い出したのは、本紙連載の「眠らない子どもたち―鹿児島でいま」を読んだからだろうか。夜9時までが子どもの時間という時代が確かにあった。「大人と子どもの時間の境界線が薄れている」と元校長が心配するのはもっともだ。

 夜の飲食店で幼い子ども連れの客や、スポーツ少年団の打ち上げを見かけてもさほど珍しい光景ではなくなった。共働きや核家族世帯が増え、夜に子どもと出歩くことに抵抗感が薄れているのかもしれない。

 スマホやゲームへの依存も睡眠時間を奪っている。友人とのSNS(会員制交流サイト)でのやりとりにのめり込むケースもある。脳が興奮してなかなか寝付けず、昼夜逆転の生活に陥れば大変だ。子どもだけでなく家族の苦しみも大きい。

 脳をつくり、育てる睡眠は健やかな心身の成長の土台であろう。「寝る子は育つ」という昔の教えをもっと大切にしたい。
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