教師の仕事

鳴潮 5/7

 教育実習の苦い思い出を一つ。日誌に「雑用が多く、生徒と関わる時間が少なくなるのを感じた」と書いた。ところが、指導教諭から赤字が入った。「雑用などない。全て教師本来の仕事である」
 
 2週間の、わずかな期間で全てを分かったように書いた、その不明を恥じた。30年以上も前の話を思い起こしたのは、忙しすぎる教諭の実態が浮かび上がったからである
 
 文部科学省が先日公表した調査で中学校教諭の57%が、「過労死ライン」を上回る時間外労働をしていた。学習指導要領の改定で増えた授業時間や、部活動・クラブ活動にかける時間の増加が勤務時間を押し上げたという
 
 教員の時間外勤務は法律などで限定されているが、それは名ばかりか。教育評論家の尾木直樹さんの言を借りれば、最低限の仕事だけで本来の勤務時間は終わってしまい、残る仕事を時間外労働でこなすなど「善意と努力でカバーしているのが現状」のようだ
 
 小学校の英語教育、アクティブラーニング、キャリア教育・・・と新たな課題がのしかかる。学力向上は至上命題。退勤を早めても、持ち帰る宿題は山のように。教師本来の仕事は肥大化し、複雑化している。これで疲弊しないわけがない
 
 善意と努力、情熱と使命。そんな思いを引き出すためには、余裕が必要である。教員の数を増やせないものか。
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