正平調 4/25

中島みゆきさんに「糸」という歌がある。「歌詞」なぜめぐり逢(あ)うのかを 私たちはなにも知らない いつめぐり逢うのかを 私たちはいつも知らない…。

人はみな、細い糸を紡ぐように生きている。縦の糸はあなた。横の糸は私。これまで交わることのなかった2本の線がある日、運命の予感をはらんで交差する-。結婚披露宴でよく聴くラブソングの一つだ。

夫が。妻が。子が。親が。友が。糸が突然に断ち切られたのは、よく晴れた日だった。乗客106人の命が奪われた尼崎JR脱線事故は、発生からきょうで12年がたつ。

帰らぬ人からの連絡を待ち続ける妻の手記を読んだことがある。夫の職場を訪ね、使っていた机を優しくなでる人を見たことがある。時間はたてども、「どうして」と問い続けてきた遺族に答えは見つからない。悲しみは余計に募った。そんな声もある。

おととい、伊丹市内であった追悼のチャリティーコンサートで「糸」を聴いた。大学1年のとき、事故で重傷を負った山下亮輔さんがギターを弾きながら歌っていた。「歌詞」縦の糸はあなた 横の糸は私 織りなす布はいつか誰かを 暖めうるかもしれない。

惨事が起きたのは午前9時18分である。せめて一人一人が記憶をつなぎ、社会の安全を紡ぐ糸でありたい。






歌:中島みゆき

作詞:中島みゆき

作曲:中島みゆき

なぜ めぐり逢うのかを
私たちは なにも知らない
いつ めぐり逢うのかを
私たちは いつも知らない
どこにいたの 生きてきたの
遠い空の下 ふたつの物語

縦の糸はあなた 横の糸は私
織りなす布は いつか誰かを
暖めうるかもしれない

なぜ 生きてゆくのかを
迷った日の跡の ささくれ
夢追いかけ走って
ころんだ日の跡の ささくれ
こんな糸が なんになるの
心許なくて ふるえてた風の中

縦の糸はあなた 横の糸は私
織りなす布は いつか誰かの
傷をかばうかもしれない

縦の糸はあなた 横の糸は私
逢うべき糸に 出逢えることを
人は 仕合わせと呼びます

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