民法改正案成立へ

くろしお 4/23

 記者になったころ法律の知識が皆無で、裁判所に行っても刑事と民事の違いさえ分からない。恥ずかしいことで、これでは取材できない、と一念発起し法律の勉強を始めた。

 目標がある方が意欲が増すので、いろいろな法律の科目がある行政書士の資格試験を目指した。最もややこしいのが民法だ。権利や義務に関する書類を幅広く作成する行政書士の業務上、民法が重要なのは当然だが私人の権利から家族関係まで実に多岐にわたる。

 物を預かったら自分の物と同じように管理せよ、など古人の戒めのようだ。誤解を恐れずにいえば大体が常識の範囲に収まる。ただ範囲があいまいなままでは争いごとになる。そこに民法はきっちりと線を引いてくれるからありがたい。

 お金の貸し借りや商品の売買といった契約のルールを大幅に見直す民法改正案が今国会で成立する見通しだ。契約分野の抜本改正は、1896年つまり明治時代の民法制定以降初めてというから、基本的に同じルールが市民生活を規定していたことに改めて驚く。

 消費者としてうれしいのは、これまでなかった約款の規定が設けられたこと。旅行や保険、通販など現代には多くの約款があるが詳しく内容を見る客は少ないだろう。契約は成立しても、客に一方的な不利益を強いる内容は無効とした。

 ほかにも未払い金時効の統一、中小企業向け融資の連帯保証人の保護策拡充など改正項目は約200。学習をやり直すのは難儀だが、身近に役に立つ法律だけに知っておいた方が得なのは確かだ。民法は常識的な感覚を磨く練習にもなる。
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