味覚

三山春秋 4/22

 味覚には甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5種類があるという。年齢を重ねるにつれ衰え、高齢者が若者と同じように味を感知するには約4倍の濃度が必要とのデータもあるそうだ 。

 だからといって“おいしさ”は若者の方が分かる、というものでもないらしい。年を取ると個々の味覚が劣る分、逆に美味の領域は広がるという説もある。ビールの苦みが「うまい」と感じるのはそのせいか 。

 いずれにしろ「おいしいものを食べたい、飲みたい」という思いは、いくつになっても変わるものではないだろう 。

 太田市ですし店を営む関口明彦さん(74)は毎年春になると、館林市の特別養護老人ホームですしを振る舞っている。即席カウンターを設け、美味とともにひとときの幸せを運ぶ。休むことなく今年で30回の節目を迎えた 。

 原動力は入居者の笑顔。「喜んでもらえるのが、うれしくてね」。さらりと言うが、世に役立ちたいと思いながらかなわないわが身としては頭の下がる言葉である。関口さんも入居者に近い年齢になったが「まだまだ続けるつもり」という 。

 高齢化は進み、外出がままならないお年寄りはこの先も増え続ける。誰しも関口さんのような取り組みをまねできるわけではない。だが、力になれることは必ずあるはずである。自分には何ができるか。改めて考える契機としたい。
関連記事