ガロ

水と空 4/22

 「何の制約もなく、とにかく自分たちがいいたいことをいえる雑誌を作りたい」。1960年代に若者らに支持された「月刊漫画ガロ」の創刊には、漫画編集者の長井勝一さんと漫画家の白土三平さんのそんな思いもこもっていたという。

 当初は返本の山が続いたが、やがて大学生が文学書や思想書と同じ感覚で漫画を読む時代に。白土さんの「カムイ伝」をはじめ、水木しげるさんやつげ義春さんらの作品を思い出す人は少なくあるまい。

 1970年代以降、人気は衰えていくが、新人発掘には熱心だった。高知市出身の中西章文さんが下積みを経て、「ガロ」でデビューしたのは1982年。以後も「ガロ」で作品を発表し続けたが、1999年に42歳で亡くなった。高知市の横山隆一記念まんが館の「高知出身のまんが家」リストに名前はない。

 遺作を世に出したいと、師匠のはやせ淳さんが遺族を捜している。それを伝える本紙の記事を見て、お兄さんが名乗り出た。作品の単行本化を夢見た遺志に沿い、漫画原稿は自宅で保管していたそうだ。

 はやせさんはツイッターに漫画を載せ、「お兄さんと電話で話をしました。声が章文君そっくり!」。5月には来高の予定という。「売れるタイプの漫画じゃなくても、兄としては名前を知ってほしかった」との願いは遠からず実現しそうだ。

 一つの記事が人と人をつなぐ。幸せをもたらす役割をこれからも果たしていきたいと思う。


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