穀雨

天地人 4/20

 春の訪れを、匂いで感じとるようになった。宇宙飛行士だった秋山豊寛(とよひろ)さんは、山暮らし10年をすぎたころから、季節の変化に身体が反応するようになったという。春風を感じながら畑や田圃(たんぼ)の土に触れているとき<…今、ここにあることの喜びがわいてくる>。『鍬(くわ)と宇宙船』(ランダムハウス講談社)に書いている。

 きょうは春季最後の二十四節気「穀雨(こくう)」である。百穀をうるおす春雨のことをいう。田畑にしみこんで、穀物などの種子の生育を助ける。種まきの好期であろう。苗を育て、田起こしに励む時季でもある。

 ホームセンターをのぞくと、レジ近くの陳列が除雪機からミニ耕運機にかわった。店頭には消石灰、培養土、堆肥などが山積みである。野菜や花の種、苗がずらりと並び、新しい品種に思わず立ちどまる。コンテナの種芋が土いじりを誘う。

 手押し式のミニ耕運機が人気と聞いた。家庭菜園など小さな規模の畑をたがやす。農機メーカー各社は、農業を本業としない人にも扱いやすいよう、設計を工夫しているという。新型機を見ると、ついつい品定めしてしまう。

 秋山さんは<自給的農家>を自任する。そして、災害などへの備え、安心の確保のため、自給的農家の重要性を説く。<一億総兼業農家>をめざす国づくり案があってもいい-と。「一億総活躍社会」と尻をたたくなら、秋山さんに1票である。
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