後出しじゃんけん

卓上四季 4/20

じゃんけんで一番出やすい手は何か。数学者の芳沢光雄さんが学生に実演させて調べた。どの手も同じ頻度で出るかと思っていたら、グーが多かった。手の構造上、力が入ると握り拳が出やすい。統計ではパーを出せば勝つ可能性が高くなる(門倉貴史著「本当は嘘(うそ)つきな統計数字」)。

物事を決められないと、ついじゃんけんに頼ってしまうが、公平中立という点では疑問が残るのだろう。まして、「じゃんけん」の上に「後出し」がつくと、誰しも眉をひそめる。スポーツの世界では、この「後出し」が問題になることが度々ある。

直近では2年前の世界選手権女子マラソンの代表選考か。国内大会で優勝した田中智美選手が漏れた。陸連はタイム重視で決めたが、田中選手の監督は「それならば最初から言うべきだ。後出しじゃんけんに感じる」と怒っていた。

陸連が次期東京五輪のマラソン代表の選考方法を発表した。2段階にして安定感や調整能力を見極めるという。「後出し」批判を招かないような誰が見ても分かりやすく、不公平を感じない仕組みにしてほしい。

メキシコ五輪男子マラソンで銀メダルに輝いた君原健二選手の言葉にある。「努力の成果なんて目には見えない。しかし、紙一重の薄さも重なれば本の厚さになる。」

努力の結晶がきちんと評価されれば選手の闘争心に火がつきやすい。観衆はその姿を見て心を動かされる。
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