「老い」とのつきあい

風土計 4/13


病院の診察券がだんだん増えてきた。年のせいだから仕方がないとはいえ、体のあちこちにガタが来ている。でも、カードケースから取り出して扇形に並べてみせた先輩にはとても及ばない。

ある日、ぶらりと入ったそば屋。隣のテーブルで先輩と同世代の5~6人が昼酒を楽しんでいる。聞こえてくる会話が面白い。全員が病気自慢だ。「おれは糖尿だ」「お前は高血圧か」と、それぞれの症状をさかなに酒を飲む。

一定の年齢に達したご同輩ならば、同じような会話をした覚えがあるに違いない。しょせんは自己管理の失敗の果てなのだが、まるで武勇伝のごとく病気を語る。けがの大きさを友達に見せ合った少年時代を思い出した。

年を取るとなぜ病気自慢を始めるのか。心理学者の佐藤眞一大阪大大学院教授は「個人的なことを相手に話す自己開示」と著書に書く。秘密や弱みを見せることで親密さを増し、孤独感を解消できるという。

「老い」とつきあっていくための一つの方策。佐藤教授は定年後の長い時間を幸せに生きるため、後半生のステージに応じた心の準備が、老後に備えた貯金と同じように大切と提言している。

日本の将来推計人口が発表された。2065年は働き手が大きく不足し、高齢者も「終わった人」ではいられない。病気自慢はもうちょっと先になるかもしれない。


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