公衆トイレ

北斗星 4/12

 国道沿いの公衆トイレに入ったところ、個室のドアのそれぞれに「和風トイレ」「洋風トイレ」のプレートが張ってあった。和風は照明が「あんどん」で、洋風はシャンデリアかな。

などと愚にもつかないツッコミを入れながら、この場合は「和式」「洋式」と書くべきではないのかなあと苦笑した。ところが「世界のしゃがみ方」(ヨコタ村上孝之著、平凡社新書)を読んで、あながち誤りとは言えないことに気付いた。

この本によると、しゃがんで用を足す便器は日本に限らずロシア国内やヨーロッパの農村などでいまも使われている。だから和式は「ユーラシア式」または「しゃがみ式」、洋式は「腰掛け式」と呼ぶのが適切だという。

さらに、日本で腰掛け式が普及したのは団地のトイレスペースを節約するため大小兼用の水洗便器が導入された1960年前後からで、その新奇さが「洋風」に映ったと指摘する。つまり和も洋も形式ではなく、あくまでも○○風というイメージなのだ。

全国の公立小中学校の洋式便器率(昨年4月現在)は43・3%(本県は44%)で、洋式への切り替えは徐々に進んでいる、だが新設校でも、例えば「和式は各階に最低一つ」と一定数を確保している。便器が肌に触れる洋式を嫌う子もいるからだ。

災害時などの仮設トイレはいまだ和式のみの場合があるし、野原で必要に迫られることもあるだろう。洋の東西を問わずサバイバル術として、しゃがみ式に慣れていて無駄はない。




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和式/洋式という二項対立的な呼び方のせいで、西洋のトイレはすべて洋式と日本人は思いがちだ。しかし、ロシア(旧ソ連)各地や東欧圏では和式(しゃがみ式)トイレが主流であり、西欧においても農村などでは同様のトイレが散見される。つまり、和式/洋式という図式で考える見方は誤りなのだ。「和式トイレ」の観察・分析を柱に、世界各地のトイレの背景にある社会的・文化的事情を読む。


第1章 「和式」「洋式」を考察する
第2章 トイレとプライバシー
第3章 目はどこを向いている?
第4章 トイレット・ペーパー談義
第5章 自然と排泄―トイレの言語学
第6章 やんごとなき方々のトイレ
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