京のパン食

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凡語 4/6


 京都ゆかりの作家森見登美彦さんのミリオンセラー小説「夜は短し歩けよ乙女」のクライマックスは、京都大に近い老舗カフェ「進々堂」でのデート場面だ。今出川通に面した席で主人公はコーヒーを飲みつつ彼女を待つ。

その黒光りする長テーブルの上にパンがあればと、つい思ってしまう。1913年、パリに留学してパン作りを学んだ創業者が、日本で初めてフランスパンを製造・販売し始めたのがこの店だからだ。

欧州仕込みの味が本物志向の京都人の口に合ったのか、パンは広く普及し、総務省統計によると京都市民は日本で最もたくさんのパンを食べる。バターの消費量も1番だ。和食のイメージが強いだけに意外である。

先の文部科学省の教科書検定で、小学校の道徳科で「国や郷土を愛する態度」を教えるためとして、読み物に登場する店がパン屋から和菓子屋に変わった。京都は和菓子の本場ゆえ歓迎したいのだが、これではパン屋さんの立つ瀬がない。

鉄砲とともにパンが伝来して4世紀半、和洋折衷のあんパンが考案されて140年余。戦後の学校給食はパン抜きに語れない。そんなパンが「非日本的」とはいかにも了見が狭過ぎる。

冒頭の小説がアニメ映画化され、明日から公開される。さて、ラストシーンの卓上にパンはあるだろうか。

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