学校図書 6年


   土      三好達治

 ありが
 ちょうの羽をひいていく
 ああ
 ヨットのようだ
考えをもたせる方法 1

 この詩について、子どもたちに考えさせます。
 私の場合、「なんでもいいから、思いついたことを書いてごらん」といいます。
 しかし、書けない子は、まったく書けません。一つも書けない子もいます。
 この子たちは、何を書いたらいいか、どうやって書いたらいいかわからないのです。

 いろいろ質問するといいでしょう。
「この詩の題名は?」
「土」
「それを書くといいね」
 すぐに書かせます。
 ・この詩の題名は「土」です。
と書かせます。
「つくった人はだれですか」
「三好達治」
 書かせます。
 ・この詩を作った人は、三好達治です。

 なんだ、そんなこと、当たり前だと思うでしょう。
 その通りです。
 でも、ちょっと待ってくださいよ。この子たちは、一つも書けなかったのです。
 それが、二つ書けたのです。
 当たり前のことを当たり前にやる これは大変なことなのです(わかる人には
わかります)。

「この詩には、何がでてきますか」
「あり」
「ちょう」
「ヨット」(これ、おもしろいでしょう。授業で使えますね)
 書かせます。

 このようにして書かせれば、少しは書けます。
 まとめます。
 まったく書けない子には、例えば、次のことを書かせます。
  題名
  作者名
  出てくるもの

 これからが本番です。

考えをもたせる方法 2

 1では、まったく書けない子に対する指導例をあげました。
 書けない子は、「書けない」という意識が強いのです。
 自分でブレーキをかけていて、前に進まないといっているようなものです。
 この「意識」は、すべてを決めるといってもいいでしょう。
 教育とは、意識改革なり(てっちゃん 談)
  何を書くか
  どう書くか
 を教えることにより、だんだんと「書けない」という意識が変わってきます。

 今回から、「100倍細かく」の手法を使ってみます。

 書けない子は、全体しか見ていません。
 しかも、漠然と見ています。
 イメージで、「書けない」といいます。
 やる前から「書けない」と決めているのです。

 見るところを焦点化させることが必要です。
 まずは、「ありが」というところです。
 ここだけに限定して、考えさせるのです。

「ありについて、知っていることを書いてごらん」
 これでけっこう書ける子は書けます。
 詩にでてくるありからは離れてしまいますが、今の段階ではいいのです。
  土の中に巣を作る。→これって、授業に使えます。
  力が強い。→これも使えます。
  色が黒い。→これも使えます。
  小さい。→これまた使えます。
など、子どもたちはいいます。
 それらをすべて書かせます。
 箇条書きさせるのがいいと思います。
 番号をつけさせるのもいいでしょう。「何個見つけた」

 ありについて書かせます。
 一人ずつ発言させるといいでしょう。
「友だちがいったことで、いいなあと思ったことは、まねして書こう」
 まねさせる→これもポイントの一つです。
考えをもたせる方法 3

 授業とは(指導とは)、見えないものを見えるようにさせることです。
 子どもに見えないことを、見えるようにさせるのです。
 子どもは、全部見えているつもりになっています。

 コロンブスの卵 という話がありますね。
 あれです。
 「何だそんなこと知ってるよ」
 いわれればわかるけれど、いわれなければわからない ということなのです。

「なーんだ、そんなこと知ってるよ」
「じゃあ、どうして最初にいわなかったの」
「…」
 
 つまり、発想がないのです。
 これは決定的な違いです。

 「あり」についての例

 ちょうの羽を運んでいるありは1匹ですか。
               数匹ですか。
               たくさんですか。
 ありは何ありでしょうか。
 どうやって運んでいるのでしょうか。
 ありは、どっち向きに運んでいるのでしょうか。
 ありはどこに向かって運んでいるのでしょうか。
 運び始めてからすぐですか。しばらくたっていますか。

 などと聴いてみましょう。
 子どもはハッとするはずです。

 いわれれば、考えられます。
 しかし、いわれなければ「あり」のままではありませんか。
考えをもたせる方法 4

 3の続きです。「あり」について。
 まだあります(さむーい)。

 ちょっと考えてみましょう。
 けっこう出てきますよ。

 この「あり」って、元氣なんでしょうか。
 疲れているんでしょうか。
 満腹なんでしょうか。
 腹ぺこなんでしょうか。
 力が強いんでしょうか。
 弱いんでしょうか。
 軽々運んでいるのでしょうか。
 必死に運んでいるのでしょうか。

 一生懸命運んでいるように見えたのでしょうか。
 よたよた運んでいるように見えたのでしょうか。

 あれども見えず。
 見ようとしなければ見えません。
 でも、見ようと意識すると見えません。
 はっははは、何のことでしょうね。
 そうです。3Dの絵に似ていますね。

 見えないものが見えるようになってくると、子どもたちは国語の授業が大好きになります。
 おもしろいですよ。古畑任三郎になれるんですから。
 トレーニングすれば、だれでも見えるようになります。
 コツをつかむとあら不思議。あとからあとから見えてきます。
考えをもたせる方法 5

 案外氣づかない点について考えてみましょう。
 私が書けば、「何だそんなことか」と思う人もいると思います。

 季節はいつですか。
 朝、昼、夜 いつのことでしょうか。
 天氣は?晴れですか、曇りですか、雨ですか。
 温度は?あたたかいですか。寒いですか。
 場所はどこですか。

 これらのことは、いろいろの教材で使えます。
 基本的なことですが、応用範囲は広いです。
考えをもたせる方法 6

 「ちょう」について考えてみましょう。

 このちょうは、何ちょうでしょうか。

 子どもたちからは、アゲハちょう、もんしろちょう、もんきちょうなどが出されます。
 イメージの問題ですね。
 アゲハだったら、大きすぎて運べないとか、けっこう話し合いは盛り上がりま
すよ。
「ヨットのようだ」と書いてあるから、もんしろちょうという子が多いですね。
 ヨットの帆は白 というイメージを持っているのでしょう。

 このちょうは、生きていますか、死んでいますか。

 これも、意見がわかれます。

   おふざけバージョン
 このちょうは、何ちょうでしょうか。
   1 ほうちょう
   2 あっちょう(ブルース・リー)
   3 その他いろいろありますけど…
考えをもたせる方法 7

 「ちょうの羽」について考えてみましょう。

 ちょうの羽のイメージです。

 ちょうの羽だけなのでしょうか。
 それとも、ちょうなのでしょうか。
 この羽は、きれいなのでしょうか。
 よごれているのでしょうか。
 ぼろぼろなのでしょうか。
 1枚だけなのでしょうか。

考えをもたせる方法 8

 「ひいていく」について考えてみましょう。

 「いく」となっていますね。
 まずは視点の問題です。
 話者から見ると、離れていく 感じですね。
 目の前を通過していく というようにもとれないことはありません。

 「ひいていく」と「ひきずっていく」は、どう違うでしょう。
 「ひいていく」と「ひっぱっていく」は、どう違うでしょう。

 「ひいていく」
  ゆっくりでしょうか。
  速いのでしょうか。
  ずるずるずる という感じでしょうか。
  するするする という感じでしょうか。
  ときどき立ち止まるのでしょうか。

 「ひいていく」とき、羽はどのように動いているのでしょうか。
 考えをもたせる方法 9

 「ああ」について考えてみましょう。

 この「ああ」は、納得の「ああ」でしょうか。
 感動の「ああ」でしょうか。
 驚きの「ああ」でしょうか。

 ちょうがかわいそうだと思って「ああ」といったのでしょうか。

 「ああ」は、言葉に出していったのでしょうか。
 心の中でいったのでしょうか。

考えをもたせる方法 10

 話者は、ずーっと見ていたのでしょうか。
 ちらっと見たのでしょうか。
 このあとも見続けたのでしょうか。

 この詩の前の場面を想像しましょう。
     あとの場面を想像しましょう。

 「土」は何を例えているのでしょう。
 「土」が海だとすると、その海の色は。
 その海は、凪ですか、荒れていますか。

 などなど、いろいろと考えられます。
 教師の働きかけ(発問、アドバイスなど)によって、子どもの考えをもたせることができます。
 教師の考えが貧弱なら、子どもの考えも貧弱にならざるをえません。
 教材研究が大切ですね。
 私の場合、具体的なところまでおろします。
 つまり、子どもにかける言葉を考えます。

 こんな感じでやっています。
 みなさんで、「考えをもたせる」方法を考えていきませんか。
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