きのうより一回だけ多く―阪神大震災で被災したきみへ

学校図書 6年

きのうより一回だけ多く―阪神大震災で被災したきみへ  川崎 洋


家を失ったきみ けがをしたきみ

父さん母さんを亡くしたきみ

きょうだいを亡くしたきみ

じいちゃんばあちゃんを亡くしたきみ

なかよしを亡くしたきみ

けんか相手がいまだに行方不明のきみ

泣いて泣いて泣いたきみ

かわいがっていたイヌやネコをもう抱けないきみ

何日もふろに入れなかったきみ

ごはんが食べられなかったきみ

寒くて寒くてふるえたきみ

いまでもこわい夢を見るきみ

そのほか

わたしが想像つかない苦しみにおそわれたきみ



わたしは65歳

孫のようなきみを

どうしてなぐさめていいか言葉がみつからない

まして励ますなんて

どう言えばいいのか

きみよりずっとたくさんの言葉を知っているのに

わからない



ただ 太陽に手を合わせる

きのうより一回だけ多く

きょう

笑いがきみの顔に広がるように

一回でも多く

じょうだんがきみの口から飛び出すように

一回だけ多く

好きな歌がきみの口から流れるように



おーい きみ
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