はじめて小鳥が飛んだとき

学校図書 4年


     はじめて小鳥がとんだとき   原田直友


   はじめて小鳥がとんだとき

   森は,しいんとしずまった。

   木々の小えだが,手をさしのべた。

  

   うれしさとふあんで,小鳥の小さなむねは,

   どきんどきん,大きく鳴っていた。

   「心配しないで。」と,かあさん鳥が,

   やさしくかたをだいてやった。

   「さあ,おとび。」と,とうさん鳥が,

   ぽんと一つかたをたたいた。



   はじめて小鳥がじょうずにとんだとき、

   森は,はく手かっさいした。


≪詩の授業にあたってのメモ≫
1.詩の授業の実際である。題、作者、連、人物、くりかえし(反復)、対比などの用語を使えるように指導しよう。

2.題名こそは詩におけるゼロ行であり、その読みは重要である。「―――とき」と止めた形は、読者に「どうしたの?」と問わせるだろう。また「はじめて」という語句の持つ意味も考えておこう。「ひな」はまだ「小鳥」ではない。なぜなら小鳥は飛んでこそ小鳥なのだ。飛ぶということの意味を、「はじめて」行うこととつなげて押さえたい。

3.人と同じように話し、考え、動く――擬人化である。まるで人間そのもののようだ。

4.「しいんと」しずまる森の期待と不安。みんなが小鳥を見守っている。森と小鳥との関係が読める。

5.「手をさしのべた」小えだは、安心感を与えようとする。

6.「うれしさ」の中身、「ふあん」の中身を小鳥のことばで子どもたちに語ってもらおう。

7.「小鳥の小さなむね」――小鳥の小ささの強調だ。「どきんどきん」「大きく」と対比するとき、「ふあん」は最大のものになる。

8.「かあさん鳥」と「とうさん鳥」の対比を見てみよう。母性と父性とされるものは。この逆だと?子どもたちは自分の父母と重ねてみるかもしれない。表面の言葉の違いはあっても貫くものは同じ。それは子どもへの愛情。

9.三連の「じょうずに」――一連との対比で読んでみよう。周りが「じょうず」と受け止める温かさがある。変化のある反復、これこそ対比。

10.小鳥を飛ばせた力は何だったのだろう。これをつかむことがこの詩のテーマをつかむことになる。飛んだのは小鳥自身の力だ。だが、それを支えた「みんな」の思いが小鳥に決断させたのだ。自立はその子自身の内面の力によるものだが、自立には周りの人々の援助がなければ不幸な結末を迎えたり、歪んだものになることも多い。

11、これから子どもたちは様々な活動をする。そして、そのなかで自立への道を進んでいくだろう。その折々でこの詩を思い出してほしいと考えている。何かができるようになった、その時にそれを支えた人々の思いに考えが及ぶような子どもたちに育ってほしい。

12.詩は優れて「教育的」なものと考えている。それは思想を語るものだからだ。父母の皆さんとも共に読みあいたいと考えての授業である。


………………………………………………………………………………

(導入)

「はじめて小鳥がとんだとき」を何というか→「巣立ち」

(展開法)

 ① 題名・作者名を板書(以下,ゆっくり音読しながら1行ずつ板書する。)

 ② 2行目〈しいん〉→声喩(オノマトペ)について説明する。

 ③ 3行目「木々の小えだは,なぜ手をさしのべたのか。」

 ④ 6行目「かあさん鳥ととうさん鳥どちらが言った言葉か。」

 ⑤ 8行目「とうさん鳥は何と言うか。」

 ⑥ 7・9行目「かたをどのようにしたと思うか。」

 ⑦ 10行目「はじめて小鳥が…の続きはどうなるか。」

 ⑧ 11行目「森はどうしたと思うか。」

(層序法)

 ① 全文読み聞かせを行い,3連構成であることを説明する。

 ② 1行ずつ追い読み・1行交代読み,一斉読みをする。

 ③ 声喩(オノマトペ)の確認をする。

   比喩(モノのたとえ)との違いも確認する。

 ④ 登場人物を確認する。

   「小鳥」「かあさん鳥」「とうさん鳥」「森(の木々)」「語り手」

   語り手の言葉→地の文

   登場人物の言葉→会話文「 」に書かれていることを説明する。

 ⑤ 2連の対比を探す

   (かあさん鳥―とうさん鳥)

   (うれしさ―不安)

   (小さな―大きく)

   (かたをだく―かたをたたく)

 ⑥ 1連と3連の対比を考える

   (しいんとしずまった―はく手かっさいした)

 ⑦ 再度全員で全文を音読する。   

 ⑧ 対比の中から共通しているものを考える。

   「願い」や「愛」

 ⑨ 人間の本質・真実を考える

   「願い」や「愛」はみな同じ。ただし人によって表現の仕方や様子は違う。

 ⑩ 教師の語り(巣立ちに向けての願い)

 ⑪ この詩についての感想を書く。 

  ※ 時間があれば暗唱させる。



この「はじめて小鳥がとんだとき」の主題は,

言うまでもなく子どもの「巣立ち」に対しての周囲の「願い」や「愛」です。

そこで学級通信の題名も,

私の願いをこめて「巣立ち」としました。

これは卒業に向けての伏線でもありました。

卒業式当日には,

本学級の児童に対する卒業へのはなむけとして再度この詩を示し,

私の願いを伝えました。
関連記事