子供の本

卓上四季 4/2

想像の翼を自由に広げた。教室の片隅で、ストーブの横で、ベッドの中で。子供のころのそんな読書に、思い出がある方は少なくないだろう。きょうは「国際子どもの本の日」だ。

童話作家アンデルセンの誕生日にちなんで1966年に提唱され、翌年から国際的な催しとなった。半世紀前と言えば、日本の児童書がより広く読まれるようになった時代でもある。

代表格は、たとえば「ぐりとぐら」(福音館書店)か。双子の野ネズミがカステラを作り動物仲間と分け合う。50年で216刷・496万部、シリーズで1542万部を発行した。「おおきなかぶ」「スーホの白い馬」も同時期だ。祖父母から孫まで読んだ、というご家庭もあろう。

良質な児童書は、決して子供だましの本ではない。子供はそんな物にはなかなかだまされない。自分や友達はどんな時にうれしく、悲しく、怒りを覚えるのか。何が本当で何が偽りなのか。本を読む中で自分の「物差し」を真っすぐに試し、共感する力を広げてゆく。

大人の文学はより複雑だし完成度が高い。だがそこはやはりオトナの世界、ウソでもホントでも「人生いろいろ」と、達観した雰囲気が先立ったりもする。

子供らしい正義感をうらやましく思う瞬間がある。大人になってしまった証拠か。新しい春の風が吹く時季だ。書店や図書館で児童書をめくって、真っすぐな力をもらうのも悪くない。
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