愛国心

春秋 4/1

「パン屋さん」では駄目なのか。来年度から小学校の「教科」になる道徳の教科書。登場する店が「和菓子店」に変更された。

「わが国や郷土の文化に親しみ、愛着を持つという要素が足りない」と国の検定で指摘され、出版社が差し替えた。国や郷土を愛する気持ちは大切だけれど、「愛国心」が上からの押し付けになってはいないか。

教育勅語を暗唱させる幼稚園に驚いた。その愛国教育を「素晴らしいと聞いている」と言う首相や「教育勅語の核の部分を取り戻すべきだ」と国会答弁する防衛相にもっと驚く。教育勅語は親孝行や友愛など大切な道義を説いている、と防衛相。詭弁(きべん)だ。勅語の「核」は、天皇や国家のために命をささげることが臣民の最高の徳目とした思想。これが軍国教育につながった。

戦後、国会は基本的人権を損なうとして教育勅語の排除や無効を決議した。にもかかわらず、政権が復古調の「美しい日本」に傾斜すれば、道徳や歴史の教科書への“忖度(そんたく)”が心配になる。

教育基本法、学校教育法が制定され、現在の小学校6年、中学校3年の「六三制」が始まって、きょうで70年。多大な犠牲の上に生まれた民主教育を後戻りさせてはならない。

子どもたちが好きなあんパン、カレーパン、メロンパン…。どれも日本発祥とされる。元は舶来でも、知恵と工夫で新しい価値を生み出すのは日本人のおはこ。それも日本の文化であろう。
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