わたぬき

越山若水 4/1

きょう4月1日。新しい年度が始まる節目の日である。また「四月一日」と書いて「わたぬき」と読む珍しい名字も、冬の着物から綿を抜いた古い習慣に由来する。

衣替えを意味するが、これは旧暦ゆえもう少し先。今年は今月26日に当たる。欧米で親しまれるのが「エープリルフール」で、日本では「四月馬鹿(ばか)」とも呼ぶ。

この日だけはウソをついても、人をだましても許される。それこそ米国のトランプ大統領がわめき立てる「フェイクニュース」(偽記事)だって全くおとがめなし。

「四月馬鹿閻魔(えんま)の抜きし舌の数 宮地英子」。地獄の裁判官、閻魔大王も大量のウソと奇妙な風習にビックリ仰天していることだろう。ところが最近の世の中は常に虚々実々、何が本当か分からない。

その典型が国有地の格安売却を巡る「森友学園」問題。確かに、学園の籠池氏が証言した安倍首相夫人の100万円寄付、行政への口利きの有無など疑問は深まるばかりだ。

国会では与野党が角突き合わす。自民は籠池氏の偽証罪告発を視野に再び国政調査権を発動する構えだ。対して民進は首相夫人の証人喚問を要求する。

問題の本質は国有地払い下げが適正かどうか。さすがに首相の名誉を庇護(ひご)する調査権は主客転倒だろう。ここは一つ、閻魔様にお願いする。「エープリルフール」を過ぎたら、ぜひ正しい審判を下してもらおう。
関連記事