人の世を教え導く

20170331191342c6f.jpeg


日報抄 3/31

 「さあアンタら、これから大学生ヨ」。新入生向けに、しょっぱなからこんな調子だ。「大学教師の言うことを聞いたらいかん。ところで、しゃべっとるオレ、なにを隠そう大学教師、さあどうする?」

こんな謎かけをしたのは森毅(もりつよし)さんだ。京都大で教える数学者だった。自身もサボり派であったから、サボれ遊べと教えた。「授業に出席したのに出来が悪いと容赦なく落とすぞ」とまで言った。

人の世を教え導く。多くの先生の中に、こういう人もいるから、面白い若者が世に出ていく。森さんは、型にはめる教育政策を嫌った。「人間というものは目的を明確にしてしまうと、たいてい目的の部分しか達成しえない。創造とはむしろ、思いもしなかったことが出てくることにある」

大学における創造がどれほど社会に役立っているか数えるまでもない。医学や科学、文学や法学。こうした大学の教育・研究機能が衰えたとき社会の歩みもおぼつかなくなっていく。

新潟大が、大幅な人件費削減を検討している。教授60人分の人件費に相当する。国からの交付金が減るからだ。青息吐息の現場に若者を遊びに導く余裕はあるか。研究の失敗も許されない。粘って耐えての発見よりも、スピードが求められそうだ。

教育者であり研究者である人々は、もの申す人である。安全保障や共謀罪、その危うさに警鐘を鳴らし、抗議する。交付金削減は、そうした人々を減らし、意に沿わぬ言論を封じる策か。文系不要論も同じ道につながっている。

…………………………
No.001

自分とちがった考えを持つ他人がいるというのは、とても貴重なことだ。
それは、少しもケシカランことではない。



No.002

今も君が、生きていくために、夢を持てばよい。
それが実現できなくっても、それはその時、また別の夢を持てばよいではないか。



No.003

僕は、目的に向かって一直線というよりは、多少は目的に達するのが遅れても、適用に脇道に入り、その道草を楽しんでいて、結果的には目的に達してしまう方が、結局は楽しくて得ではないかと考えている。



No.004

先が決まってないから不安と思うか、先が決まってないから気楽と思うか、暗いよりは明るい方がいいではないか。



No.005

「できない子」に、何かを教えようとして、逆に君が、彼から何かを学ぶことの方が、君にとって大事なことだ。




No.006

未来は、人間のちっぽけな創造の枠を超えているからドラマチックなのだ。



No.007

元気になれ、がんばれというメッセージが多すぎる。
・・・みんなが毎日ハイになることないやんか。
元気がない人もいてええんや。



No.008

今の教育で何より必要なのは、どんな不確定な変動にもツブシの利く人間を育てることだろう。
それを教師というツブシの利かぬ人間に委ねるところが困ったところ。
もっと悪いのは、未来が不確定になればなるほど、当面の制度を安定化しようという図式である。



No.009

正しさは伝染(うつ)らないけど、楽しさは伝染(うつ)る。



No.010

即戦力なんて、自分を食いつぶすからね。
あんまり即戦力になると、時代が変われば途端についていけなくなるからな。
時代の変わり結構早いからね。



No.011

年配者に好かれるコツは、要するに砂糖と塩の加減の問題やねん。
「生意気の芸には愛嬌のスパイス、愛嬌の芸には生意気のスパイス」。
生意気だけでも、ベタベタ甘えてばかりでもいかん。



No.012

若いうちから、もっとムダせい、言うの。
ムダがどれだけ身につくかで、教養が広がるんやからね。



No.013

論理的なことや正しいことばかり追わず、とにかく何でも面白がるようにしています。



No.014

楽しいことが広まるというのは、社会がよくなるということです。



No.015

人生20年。
体の物質も頭の配線も、20年もすればすっかり変わるんやから、20年前のオレは赤の他人やと思えと。
人生は20年ずつやったら、80年でも4回あるやないの。
4回あったら1回やそこらどうなろうと、まだ次があるやないの。



No.016

英単語を覚えるのが受験勉強で、知らなくてもでっちあげるのが受験技術。



No.017

いいことには、必ず悪いことがくっついてくる。



No.018

傷つけないやさしさなんて 偽物じゃないやろか。



No.019

バラバラに逃げることやね。
集団にいると「安心」はできるが「安全」ではない。



No.020

賢(かしこ)に教わるぐらいアホでもできるわ。
アホから教わるのがほんまの賢や。



No.021

ひとりで渡ればこわくない。



No.022

学びは人間関係の中に成立する。



No.023

学力低下が社会問題になってますが、本当に大事なのは、学力がなくとも 何とかする力をいかに育てるかです。



No.024

ムリやムダを省いて答えを出そうという、効率主義の教育ではだめ。



No.025

分からんことを楽しむのも、立派な能力です。



No.026

おじさん度というのは「誰でもこうするものだ」とか「みんなこうしてきたのだ」とかの言葉を、日常にどれだけ口にするかで計られる。



No.027

今の教育で何より必要なのは、どんな不確定な変動にも、ツブシの利く人間を育てることでしょう。



No.028

違うことはいいことだ。
アハハって面白がってればいいのよ。



No.029

失敗しても、またやり直したらええやんか。



No.030

最近の人は、予定表に空白があると落ち着かへん「空白脅迫症」みたいなのが多いね。
山登りでも、すぐ目的地へ行きたがる。
僕は、山の上へ無駄なく行くより、谷の方でデレッとしてるのが好きなんや。
そうするとね、シャキシャキしてたのでは見えないものも見える時があるよ。



No.031

60パーセントぐらい幸せだったら、相当に幸せだと思うことにすればいいと思うよ。



No.032

新しいことを始めるには優等生だけではだめ。
突拍子もないことを言い出すのは、たいていはスカタンですわ。



No.033

エエカゲンがおもしろい。



No.034

まあ、ええやないか。



No.035

ぼちぼちいこか。




No.036

予定通りの人生なんて、そうあるもんやないよ。



No.037

エリートは育てるもんやない、勝手に育つもんや。



No.038

たしかに、家へ帰ると、いくらかは外の社会を離れて自在にふるまえるよさがある。
ただし、塀に閉ざされた内部だけで、庭の花を自分だけで楽しむというのでは、閉ざされすぎる。
道を行く人がふと目にとめて、心を楽しませるぐらいのほうが、庭の花にはふさわしい。



No.039

一人っ子で協調性は弱いけど、社交性はあるんや。



No.040

確かに僕はずぼらだったけれど、先生がぶざまな姿を生徒に見せることも大事なんだよ。


No.041

ぜんぜんつかまらないタクシーが、その時だけバカに間がよくつかまったりするとか、はかない幸福もあったりする。
そんなもんだろう、と僕は思う。



No.042

何を選んでも、完璧な幸福というわけにはいかない。

関連記事