不法投棄

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正平調 3/31

ずいぶん前なので題名を失念したが、異色の近未来小説を雑誌で読んだ。テーマはごみ問題、舞台は処理できなくなった大都市。

困った企業は職場のごみを社員に持って帰らせた。近隣の町は市境でピケを張って防ぐ。行き場を失って舞い戻ったごみが腐臭を放ち、感染症が広がり、地価は暴落。かくして華やかな大都市も…。

ごみを侮ってはいけない。地域を崩壊させもする。そう警鐘を鳴らす物語が印象に残ったのは、前後して、瀬戸内海の豊島(てしま)(香川県)で産業廃棄物の不法投棄問題が噴き出したからだ。持ち込まれたごみで美しい島がうめく。心の痛む光景だった。

兵庫県警が業者を摘発したことで事態は動いたが、気掛かりは残るごみ。やっと運び終えたと、先日の紙面で知る。県警摘発から27年、撤去を始めて14年。要した費用700億円。愚かな不法投棄のツケはかくも大きい。

住民運動を支えたのは弁護士中坊公平さんだ。神戸での集まりでこう説いた。「不法投棄されるごみは、すべて都会から過疎地へ流れている」。なのに「都会の住民は、ごみが目の前から消えれば解決した気になっている」

豊島の問題は多くの教訓を残した。中坊さんの弁を踏まえれば、悲しい物語は都市の無関心が生むことがその一つ。次の幕が開いていないか、目をこらさねば。
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