和 日本はいいな

日報抄 3/30

プロ野球が米国人審判を招いたのは20年前だった。ところがシーズン途中で帰国してしまう。判定をめぐって選手や監督に詰め寄られ「恐怖を感じた」から。米国では経験したことがなかったという。

野球とベースボールは「すしとフィッシュ・バーガーほど違う」と言った米国人記者もいるそうだ。同時通訳者の鳥飼玖美子(とりかいくみこ)さんが書いていた。同じ魚でも文化に合わせ形を変える。差は客席の応援にもよく表れる。応援リーダーに合わせる風景は米国からのぞくと新鮮なのだ。そこに「和」を重んじる文化が見える。

物議を醸す「和」もある。小学生が使う教科書の検定で「パン屋」が「和菓子屋」に修正された。道徳の教科書だ。「国や郷土を愛する態度」を教えるという。そのために調和の和ならぬ、日本を指す「和」を重んじた。

文部科学省のジャッジに愛国への忖度(そんたく)がうかがえる。トーストとバターが並ぶ食卓はアウトなの? 邪推ついでに調べてみると、和菓子とて外国と結びついている。

ちまきは中国から伝わった。全国和菓子協会は、政治に絶望して湖に身を投げた人を弔ったのがはじまりと紹介する。ようかんの起源も団子の名の由来も中国に追う。学校で習う漢字も渡来の好例だ。

和菓子の細工に感心し、香りをめでながら季節を味わう。「日本はいいな」を強要するまでもない。一方、異文化に触れて知る日本の良さがあり、違いを認めて芽生える思いやりもある。今回の修正が正しいのか、学校で議論してみてほしい。
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